更新日:2025年5月20日
目次
社内イベントは、日常業務から離れて社員同士が交流し、組織のつながりを深める重要な機会です。しかし「どのようなイベントを企画すればよいのか」「イベントを実施しても参加者が少ない」と悩む担当者も多いでしょう。
本記事では、社内イベントの概要や種類、面白い企画例、実施手順について解説します。
社内イベントとは、会社が社員のために企画・実施するイベントのことです。数時間で終わる社内イベントから数日間続く社内イベントまで、規模はさまざまです。また、形式も厳粛な式典からカジュアルなスポーツ大会まで多様なイベントがあります。
テレワークが普及したことに伴ってオンラインで社内イベントを実施する会社が増加し、会場費や移動費の節約にもつながっています。しかし、従来のイベント形式(集合型の社内イベント)の重要性が認識されたことから、現在は集合型の社内イベントが見直されています。
社内イベントは、戦略的に企画・実施することにより、組織の成長や課題解決につなげる役割も担っています。
社内イベントにはさまざまな種類があり、それぞれ特徴が異なります。ここでは代表的なものを4つ見ていきましょう。
周年記念イベント
周年記念イベントは、会社の創立・設立や、ブランドの誕生、商品の発売などから10年、50年といった節目を祝うイベントです。社員に感謝の気持ちを伝えるとともに、自社の歴史や会社の理念への理解を深める機会にもなります。
社員総会
社員総会は、年度ごとや半期ごとに社員が集まり、自社の現状や今後の方針を共有するイベントです。呼び方は会社によってさまざまで、全社総会やキックオフミーティングなどとも呼ばれます。
前期の業績の振り返りや社員表彰に加えて、新しい経営方針や戦略の伝達を行うことが一般的です。社員同士の交流を深めるために、懇親会を併せて実施することもあります。
社内表彰(アワード)
社内表彰とは、高い業績や成果を上げた社員、会社の理念や行動指針を体現した社員などを表彰するイベントです。アワードと呼ばれることもあり、一般的に年に1回の頻度で行われます。受賞者を称えるだけではなく、全社員が目指すべき姿を共有する機会でもあります。
内定者懇親会
内定者懇親会は、内定者を対象とした社内イベントです。内定式の後や入社前の時期に行われることが一般的で、会社と内定者、また内定者同士の交流を深めることを目的としています。内定辞退の減少に効果があるほか、会社が個々人の特性や性格を把握するきっかけにもなります。
社内イベントを計画する際には、面白い企画を取り入れることがおすすめです。面白い企画を実施するメリットは、以下の通りです。
日々の業務の中で、モチベーションを保ち続けることは簡単なことではありません。一人で問題を抱え込んだり、孤独を感じたりして、モチベーションが低下してしまうこともあります。
しかし、そのような状況を改善できるのが社内イベントです。面白い企画を取り入れた社内イベントでは、普段は業務の話しか交わさない同僚や上司とも、リラックスした雰囲気の中でスムーズに会話が生まれます。仕事以外の話題でコミュニケーションを取ることで、互いの人柄が知れて、信頼関係の構築につながります。
また、社内イベントで交流が深まると、職場でも声をかけやすくなり、ちょっとした相談や質問がしやすくなることで心理的安全性が向上します。心理的安全性が高い職場では、チームの一体感が高まり、互いに支え合いながら前向きに仕事に取り組む姿勢が育まれやすくなります。
社内イベントを通じて「この会社に所属していてよかった」と感じる体験を共有することは、社員の帰属意識を高めるうえで効果的です。会社に対する愛着や仲間とのつながりが深まることで、これからもこの会社で働きたいという気持ちが芽生えやすくなります。
また、社内イベントを通じて会社の価値観を伝え、それに共感してもらうことで、社員は自分の役割や存在意義を再確認できます。前向きに物事を捉えられるようになり、結果として離職の防止につながります。
企画に会社の理念や目指す姿を取り入れることで、社員に対するメッセージを伝えることが可能です。
たとえば、チームワークを重視する会社であれば、協力が求められるゲーム形式の企画を通じて、価値観を共有することがおすすめです。また、会社の理念を社内に浸透させたい場合には、クイズ形式で出題するとよいでしょう。
社内イベントの様子を社内報やSNS、Webサイトなどで発信することで、「社員を大切にする会社」、「働きやすそうな職場」といった好印象を社外に与えられます。特に採用活動やブランディングに力を入れている会社にとっては、社内イベントの活用が他社との差別化にもつながる有効な手段です。
社内イベントの企画に悩んでいる方向けに、おすすめの面白い企画アイデアを7つ紹介します。
企画アイデア | 特徴 | 人数 | 実施時間 | 屋内/屋外 | オンライン |
チャンバラ合戦 |
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– | 2〜2.5時間※ | 屋内・屋外 | × |
バブルサッカー |
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4人対4人もしくは5人対5人 | – | 屋内・屋外 | × |
謎パ |
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10~600名※ | 1.5時間~2時間※ | 屋内 | ○ |
人狼ゲーム |
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1グループ5~15人程度 | 30~90分 | 屋内 | ○ |
ビンゴ大会 |
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10~10000名※ | 30分~1時間※ | 屋内 | ○ |
格付けバトル |
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– | 45分~1時間※ | 屋内 | ○ |
オール社員感謝祭 |
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30~2,000名※ | 30分~1時間※ | 屋内 | ○ |
※IKUSAの場合
チャンバラ合戦とは、スポンジでできた刀を使って相手の腕についたボールを落とし合うアクティビティです。戦国時代の世界観を取り入れた体験型の合戦アクティビティで、日常では味わえない高揚感や熱狂を体感できます。
チャンバラ合戦で勝利するために重要となるのは、戦略とチームワークです。また、チームごとに軍議と呼ばれる作戦会議で戦術を練り、実際に合戦で実行し、次の軍議でその結果を振り返って改善策を考えることでPDCAサイクルを回すことも重要となります。
バブルサッカーとは、上半身と頭を覆うビニール製のバブルボールを身につける新感覚のサッカーです。バブルボールが衝撃を吸収するため、激しいぶつかり合いや転倒が起こっても安全にサッカーを楽しめます。
ルールは一般的なサッカーと基本的に同じで、制限時間内により多くの得点を挙げたチームが勝ちとなります。試合は4人対4人、または5人対5人で行われ、ゴールキーパーの有無は選択可能です。試合時間は5分ずつの前半・後半制、または7分間の1本制で行われます。
謎パとは、リアルでもオンラインでも楽しめる、謎解きとパズルを組み合わせた全員協力型のアクティビティです。全員が一つのチームとなり、それぞれが持つ問題のピースを共有して、協力しながら謎を解いていきます。謎を解くとミッションが発令され、クリアしたらまた次の謎に取り組みます。全てのミッションをクリアして最終問題が解けたらゴールとなります。
人狼ゲームとは、参加者が村人陣営と人狼陣営に分かれ、限られた情報をもとに話し合いを行いながら、人狼陣営を探すゲームです。参加者は役職(村人、占い師、霊媒師、狩人、人狼、狂人など)に応じて異なる行動を取り、それぞれの陣営の勝利を目指します。
ビンゴ大会は、ビンゴカードの数字が揃った人が景品を獲得できるアクティビティです。最近ではスマートフォンを活用したデジタルビンゴも普及しており、手軽に実施できます。
格付けバトルは、テレビ番組風の雰囲気で、一流の品を見極めるクイズ形式のアクティビティです。紅茶や牛肉、絵画などのさまざまなジャンルで一流の品を見極めるクイズに挑戦し、全問正解の一流ゲストを目指します。
オール社員感謝祭は、自社に関する問題で盛り上がるバラエティ型クイズ大会です。自社の歴史や社員にまつわるトリビアなど、独自の問題を通して楽しみながら会社理解が深まります。
社内イベントを成功させるためには、適切な準備と運営が欠かせません。ここでは企画から実施までの基本的な流れを順に説明します。
社内イベントを企画する最初の段階では、なぜイベントを実施するのかという目的を明確にすることが重要です。チームビルディング、社員のモチベーション向上、部署間の交流、理念の浸透など、目的によって適した内容が異なる場合があります。
目的が明確になれば、企画の軸ができるだけでなく、イベント終了後の効果測定にも役立ちます。効果的な社内イベントにするために、何のために行うのかという目的をはっきりさせましょう。
イベントの成否を左右するのが運営に携わる社員の選定です。イベントの目的に共感し、主体的に取り組む意欲のある人材を集めましょう。
可能であれば、異なる部署や年次の異なる社員で構成すると、多様な視点が取り入れられ、より効果的な社内イベントを企画することにつながります。また、運営経験のある社員と未経験者を組み合わせることで、ノウハウの共有と新たな発想の両立が図れます。
運営に携わる社員が揃ったら、イベントの基本的な枠組みを決めていきます。決めるべき項目は、以下の通りです。
会場選びでは、第一候補だけでなく複数の候補を挙げておきましょう。希望の会場が予約できなかった場合にも、柔軟に対応できます。
会場を決定したら必ず下見を行い、動線や設備、音響などに問題がないか確認しましょう。「思っていた設備がなかった」「後ろまで声が届かない」というトラブルを避けるためにも、事前確認は欠かせません。
会場を下見する前には、あらかじめ必要な物品や確認すべき項目をリストにまとめておきましょう。一度の下見で何が足りていて、何が不足しているかを把握できるため、準備の抜け漏れを防げます。
イベント概要や会場が決まったら、次は内容を具体的に決めていきます。大切なのは、参加者全員が楽しめる内容にすることです。また、年齢や役職、興味・関心はさまざまなので、できるだけ多くの人が好印象を持てる内容となるように検討しましょう。
また、緊張感をほぐすアイスブレイクの時間を設けることもおすすめです。他部署で話したことがない人同士でも自然に会話が生まれ、場の雰囲気がやわらぎます。
イベント終了後は、必ず振り返りの時間を設けましょう。よかった点や改善点を整理することで、次回以降のイベント運営に活かせられます。
具体的には、参加者アンケートを通じて満足度を計測することが効果的です。数値による評価と自由記述のコメントを組み合わせることで、さまざまな視点からイベントを評価できます。
あわせて、運営側の反省会を実施し、準備段階から当日の運営までに見つかった課題を共有しましょう。議論した情報を議事録として残しておくことで、次回以降の担当者が過去の経験を参考にしやすくなります。
社内イベントにおけるよくある課題は以下の通りです。
参加率を高めて、効果的な社内イベントを実現するためのポイントを6つ紹介します。
イベントの告知は1回だけでなく、複数回にわたって行いましょう。特に規模が大きい、または重要なイベントほど、社員の目に入りやすい時期・時間帯に何度か告知をすることをおすすめします。最低でも1か月前には第一報を出し、その後も定期的にリマインドを行いましょう。
告知のたびに少しずつ新情報を解禁して、興味を持続させる工夫も効果的です。たとえば、イベント内容の詳細や、前回参加者の声、景品などを順次公開していくと、参加意欲を徐々に高められます。社内メールやイントラネット、掲示板など複数の媒体を活用し、できるだけ多くの社員の目に触れるようにしましょう。
社員の年齢や性別、役職、趣味嗜好などはさまざまなので、できるだけ多くの人が楽しめる企画を目指しましょう。事前に社員アンケートを実施して、社員の希望を聞くのもひとつの手です。
企画の形式としては、チーム対抗戦がおすすめです。一体感が生まれやすく、自然と交流が促されます。また、積極的な参加に抵抗がある人でも楽しめるように、観戦するだけでも楽しめる要素を取り入れるのもよいでしょう。
社内イベントを休日に実施すると、プライベートの時間を優先したいと考える社員から反発を招く恐れがあります。できる限り、平日の業務時間内で開催するように進めましょう。
業務時間内であれば、イベント参加も勤務の一環として受け止められやすく、参加のハードルが下がります。さらに、残業代が発生しない、家族の理解を求める必要がないといったメリットもあります。
どうしても業務時間内での開催が難しい場合には、平日の夕方から短時間で行うなど、社員の負担を最小限に抑える工夫が必要です。
イベント参加にあたって、社員が自分で用意しなければならないことが多いと、参加率の低下につながることがあります。余興や自己紹介資料の作成など、事前準備が必要な内容はできるだけ避けましょう。また、服装も普段着で参加できるようにするなど、気軽に参加できる環境作りが大切です。
社員がアクセスしやすい場所でイベントを実施することも、参加率の向上に効果的です。会場は交通アクセスのよい場所を選び、事前に会場の場所やアクセス方法についてわかりやすく伝えておきましょう。
社内イベントに景品を用意することで、社員のイベントへの関心を高められて、参加率の向上が期待できます。「何か当たるかもしれない」というワクワク感が生まれ、普段あまりイベントに参加しない社員も興味を持ちやすくなります。
また、景品は社員同士の会話のネタのひとつとなり、コミュニケーションの促進にもつながります。たとえば、「どの景品がほしい?」「前回は何が当たった?」といった会話がきっかけとなり、普段あまり接点のない部署や年齢層の社員同士も気軽に交流できるようになります。
景品の準備は手間に感じるかもしれませんが、イベントの盛り上がりと満足度を高めるために用意するのがおすすめです。
社内イベントの企画・運営に慣れていない場合は、イベント会社などの専門家に相談することも検討しましょう。特に規模の大きなイベントや、会社にとって重要なイベントでは、プロの力を借りることで質の高いイベントを実現できます。
専門家に相談する主なメリットは、豊富な経験に基づいた企画提案が受けられることや、運営の手間や負担を大幅に軽減できること、専門的な機材や道具を調達する手間を省けることです。予期せぬ事態が発生した際にも柔軟に対応してくれるため、特に初めて大規模イベントを実施する際には頼もしい味方となります。
予算と相談しながら、必要に応じて専門家への相談を検討してみてください。
社内イベントは、社員のモチベーションや帰属意識の向上、会社の理念や価値観の浸透など、多くのメリットを期待できる取り組みです。本記事で紹介した企画アイデア、実施の流れを参考に、あなたの会社にぴったりの社内イベントを企画してみてください。
特に、目的の明確化や、全員が楽しめる企画選定、参加者の負担軽減などは、社内イベントを成功させるために重要なポイントとなります。また、初めて社内イベントで面白い企画を実施する場合には、専門家への相談を検討することがおすすめです。社員が「参加してよかった」と思えるような、価値ある社内イベントの実現を目指しましょう。