更新日:2025年7月1日
目次
新年度や新規プロジェクトの立ち上げにあたり、「チームの士気を高め、良いスタートを切りたい」とお考えの担当者の方も多いのではないでしょうか。そうした場面で有効なのが「キックオフパーティー」です。
一方で「具体的に何を準備すればいいのかわからない」と不安に感じることもあるかもしれません。
本記事では、キックオフパーティーの概要から、開催するメリット・デメリット、具体的な準備の流れ、おすすめの企画例、そして成功させるための重要なポイントまでを網羅的に解説します。
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キックオフパーティーとは、一般的に新年度の開始や大規模なプロジェクトの立ち上げといった、新しい門出のタイミングで開催されるイベントのことです。「キックオフ」という言葉は、サッカーやアメリカンフットボールで試合開始を知らせる合図に由来しています。
ビジネスにおけるキックオフパーティーは、懇親会や飲み会とは異なり、明確な目的を持って開催されます。これから始まる事業やプロジェクトの成功に向けて、関係者の目標や展望を共有し、チームの一体感を高めて士気を向上させることが目的です。会社の未来に向けた重要なスタートを切るための、戦略的なイベントといえるでしょう。
キックオフパーティーの最大の目的は、会社やチームが「これからどこに向かうのか」という方向性を全員で共有することです。会社全体の方針や目標、プロジェクトの背景などを改めて伝えることで、社員一人ひとりの行動に一貫性を持たせられます。
また、経営層や管理職だけでなく、現場の社員までも同じ場に集まるため、情報伝達にズレが生じにくくなります。そうした機会を通じて、一人ひとりの当事者意識が自然と高まり、今後の業務への意欲や連携にも良い影響をもたらします。
「わざわざ業務時間を割いてまで、パーティーを開く必要があるのだろうか」と疑問を抱く方もいるかもしれません。しかし、キックオフパーティーには多くのメリットがあり、上手く活用すれば、会社にとって大きなプラスの効果が期待できます。
ここでは、キックオフパーティーの開催によって得られる主なメリットを解説します。
キックオフパーティーで明確な目標や展望を共有することで、社員の働く意欲の向上につながります。会社の未来像や期待される役割が明確になるため、「自分も会社の一員として貢献したい」という前向きな気持ちが生まれやすくなります。
パーティーという非日常の場で、普段の労をねぎらったり、優れた功績をあげた社員を表彰したりすることも、社員の意欲向上に有効です。評価される経験は、本人にとって大きな励みになるだけでなく、他の社員にとっても「次は自分も表彰されたい」という良い刺激を与え、会社全体の士気を高める効果が期待できます。
キックオフパーティーは、会社としての一体感を生み出すきっかけにもなります。普段は関わりの少ない他部署の社員や、異なる拠点で働く社員と直接顔を合わせ、会話できる貴重な機会です。
同じ食事を楽しみ、会話を交わす中で互いの人柄を知ることは、信頼関係の構築に役立ちます。そうした部署の垣根を越えたつながりを持つことで、今後の業務において円滑な連携が生まれやすくなるうえに、新たなアイデアの創出を促す土壌となるでしょう。
キックオフパーティーには多くのメリットがある一方、開催にはいくつかの課題も伴います。事前にデメリットを把握し、対策を検討しておくことが、効果を高めるうえで欠かせません。
ここでは、キックオフパーティーを開催する主なデメリットを紹介します。
キックオフパーティーを開催する最も大きなデメリットは、費用と準備の手間がかかる点です。会場費や飲食代、景品代、外部への委託費といった費用に加え、多大な労力も必要となります。
企画の立案から会場の手配、出欠の確認、当日の運営まで、担当者は多くの時間と対応が求められます。通常業務と並行して進める必要があり、担当者の負担が大きくなりやすい点に注意が必要です。
キックオフパーティーの開催は、担当者だけでなく、社員の業務にも影響を与える可能性があります。
特に、平日の業務時間内に開催する場合、その時間は全社的に業務が中断することになります。繁忙期と重なってしまうと、業務効率の低下や機会損失につながる恐れも考えられます。準備を担当する社員の負担が大きくなりすぎると、通常の業務に支障が出てしまうケースも少なくありません。
キックオフパーティーを開催する際は、できるだけ業務を圧迫しないよう、適切な役割分担や予定の管理を行いましょう。
近年は働き方の多様化に伴い、キックオフパーティーの開催形式も多様になっています。それぞれのメリット・デメリットを理解し、自社の状況に合わせて適した形式を選びましょう。
開催形式 | メリット | デメリット |
オフライン開催 |
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オンライン開催 |
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ハイブリッド開催 |
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オフライン開催とは、ホテルやイベント会場などの同じ会場に参加者が集まり、対面で開催する形式のことです。
経営陣の想いが表情や身振り手振りを通じて熱量高く伝わるため、会場に一体感を醸成できます。さらに、社員が一か所に集まることで、社員同士の偶発的なコミュニケーションが生まれやすい点もメリットです。
一方で、会場費や飲食費、装飾費といった費用が高くなる傾向があります。遠方の拠点に勤務する社員にとっては移動の負担が大きく、参加のハードルが上がる点もデメリットです。
オンライン開催とは、参加者がそれぞれの自宅やオフィスなどから、PCやスマートフォンなどを使って参加する形式のことです。
会場を用意する必要がなく、費用を抑えられる点がメリットです。どこからでも参加できるため、遠方の拠点に勤務する社員でも参加しやすくなります。当日の様子を録画しておけば、欠席者も後から内容を確認することも可能です。
しかし、画面越しのコミュニケーションとなるため、一体感の醸成や非言語的な情報の共有が難しいというデメリットがあります。参加者の通信環境に影響を受けやすく、さらに長時間にわたると集中力が途切れやすい点も課題です。
ハイブリッド開催とは、一部の参加者がメイン会場に集まり、その他の参加者がオンラインでその様子を視聴する形式です。
ハイブリッド開催のメリットは、オフライン開催の臨場感とオンライン開催の利便性を両立できる点にあります。 多様な働き方や勤務地に対応しつつ、会場の盛り上がりをオンラインでの参加者に届けることが可能です。
ただし、オフライン会場の参加者とオンライン参加者の間に温度差が生まれやすく、不公平感を与えないための配慮が求められます。また、会場設営や配信準備など、オンライン開催・オフライン開催の両方の準備を行わなければならず、準備が複雑になりやすい点にも注意が必要です。
キックオフパーティーの効果を高めるためには、計画的かつ丁寧な段取りが不可欠です。ここでは、開催までの基本的な流れを6つの段階に分けて解説します。
キックオフパーティーの開催準備では、すべての準備の土台となる目的を明確にします。目的が曖昧なままでは、以降のすべての判断がぶれてしまいます。
「社員の士気を高める」という漠然としたものではなく、「誰にどんな気持ちを持ってほしいのか」まで具体的に掘り下げましょう。たとえば、「若手社員に、会社の未来像にワクワクしてほしい」「全部署の社員が部門の壁を越えて、一体感を得られるようにしたい」といったように、対象と目的を明確にすることで、ふさわしい企画や演出の方向性が自ずと定まります。
目的が定まったら、開催日時と形式を決定します。
日時は、年度初めや四半期初めなど、会社の節目となる時期に設定するのが一般的です。業界の繁忙期や、社員が休暇を取りがちな時期は避けましょう。また、業務時間内に開催するのかどうかによって、参加率が変わるため、慎重に検討しましょう。
開催形式は、予算や参加者の所在地、伝えたい内容の性質を考慮して、オフライン・オンライン・ハイブリッドから最適な開催形式を選びます。たとえば、実際に製品を体験してほしい場合はオフライン開催が、全国の拠点を繋ぎたい場合はオンライン開催やハイブリッド開催がおすすめです。
オフライン開催またはハイブリッド開催の場合は、会場選びも非常に重要です。会場は以下の点を考慮して選びましょう。
人気の会場は数ヶ月前から予約が埋まることも多いため、複数の候補を用意しておくことが安心です。
オンライン開催の場合は、使用する配信ツールを選定します。少人数のディスカッションを促すためのブレイクアウトルーム機能や、リアルタイムでアンケートを取るための投票機能など、必要な機能を備えているか事前に確認しましょう。
設定した目的を達成するための、具体的なプログラムを設計します。経営層によるプレゼンテーション、表彰式、懇親会などを、参加者が飽きないようにバランス良く組み合わせるのがポイントです。あわせて、各プログラムの所要時間も細かく設定し、進行表を作成しましょう。
案内状は、社員の参加意欲を高めるための最初のコミュニケーションです。
日時、場所、目的、プログラムの概要、服装といった基本情報に加え、特別ゲストや記念品など、参加する魅力が伝わる内容を盛り込みましょう。件名は「【〇〇キックオフパーティーのご案内】」のように、一目で内容がわかる表現を使用することがおすすめです。
案内状の送付が早すぎると忘れられ、遅すぎると参加者の予定が埋まってしまう可能性があるため、開催日の1ヶ月〜3週間前に送付しましょう。
当日の円滑な進行のために、リハーサルの実施は欠かせません。リハーサルを行うことで、各プログラムの所要時間を把握できるほか、登壇者の緊張を和らげたり、スタッフ間の連携を円滑にしたりする効果があります。
プレゼンテーションや司会進行、音響や照明のタイミング、映像の切り替えなどを、本番と同じ流れで一通り通しておくことが大切です。特に機材トラブルは起こりやすいため、PCがフリーズした場合の代替案など、対応策を準備しておきましょう。そうした備えが、運営チームの当日の安心感につながります。
キックオフパーティーでは、参加者が楽しく交流し、前向きな気持ちでスタートを切れることが大切です。ここでは、参加者が楽しめる、キックオフパーティーにおすすめの企画を4つご紹介します。
企画 | おすすめの理由 |
ビンゴ大会 | 役職や年齢に関係なく誰でも楽しめるため、会場全体で自然な一体感が生まれる |
クイズ大会 | 会社の理念や商品の特徴などをクイズに盛り込むことで、楽しみながら会社への理解を深められる |
格付けバトル | 役員や管理職が回答者となると、普段とは違う一面が見られ、親近感が生まれる |
生演奏 | 緊張を和らげる効果があり、歓談の時間がより盛り上がる |
表彰式 | 社員の功績を公式に称えることで、本人の意欲を高めるとともに、会社全体の士気向上にもつながる |
ビンゴ大会は、ルールが簡単で誰でも気軽に参加できる定番の企画です。役職や年齢に関係なく誰でも楽しめるため、会場全体で自然な一体感が生まれます。
より印象に残る企画にするには、少し工夫を加えるのがおすすめです。例えば、ただ数字を読み上げるだけでなく、勤続年数や誕生日など、数字にちなんだ社員に短いコメントをもらうと、相互理解の促進につながります。また、景品に自社製品や「社長とのランチ券」といった面白い賞品を用意することで、最後まで大いに盛り上がるでしょう。
クイズ大会は、楽しみながら会社や社員への理解を深められる人気の企画です。
会社の理念や商品の特徴などを問題に盛り込むことで、参加者は自然と自社への理解が深まります。さらに、部署や役職を問わずチームを編成すれば、普段関わりのない社員同士の信頼関係を築くきっかけにもなります。
会社の歴史に関する真面目な問題と、役員の意外な趣味などの面白い問題をバランス良く織り交ぜることがおすすめです。会場の雰囲気が和やかになり、より記憶に残る時間となるでしょう。
格付けバトルは、テレビの人気番組のように、参加者が五感を使って「一流の品」を見極めるアクティビティです。例えば、高級牛肉と廉価な牛肉の食べ比べや、最高級茶葉を嗅ぎ分けるといった問題が出されます。
この企画の最大の魅力は、正解発表の瞬間に会場全体が盛り上がることです。役員や部署長が回答者となり、真剣に悩んだり間違えて悔しがったりする姿に、親しみを感じる社員も多いでしょう。
社員全員あるいはテーブルに予想カードを配り、解答者と一緒に予想する形式にすれば、会場全体を巻き込んで楽しめます。あらかじめ4つのカテゴリの問題が用意されていますが、事前に相談することで自社独自のオリジナルの問題を出題することも可能です。
プロによる生演奏は、パーティーに特別感をもたらし、会場全体の雰囲気を上品に演出してくれます。心地よい音楽は参加者の緊張を和らげ、リラックスした空気の中での会話を促すため、歓談の時間もより一層盛り上がるでしょう。オープニングや表彰式など重要な場面で取り入れれば、イベント全体に華やかさとメリハリが生まれます。
演奏する楽曲は、会社のブランドやテーマに合わせて選ぶことがおすすめです。また、創業年のヒット曲の演奏を依頼するなど、会社の歩みを連想させる曲を選ぶと、より記憶に残る感動的な演出となるでしょう。
表彰式は、社員の功績を全社員の前で公式に称賛する企画です。受賞者本人の意欲を高めるだけでなく、その姿が他の社員の目標となり、会社全体の士気を向上させます。
効果をさらに高めるには、売上などの数値実績だけでなく、会社の価値観を体現した行動を称える独自の賞を設けるのも、ひとつの手です。上司による推薦コメントの映像を流したり、経営層から直接賞状と感謝の言葉を手渡したりすることで、感動と価値は一層高まるでしょう。
ここでは、企画の立案や準備を進める上で心にとどめておきたい、キックオフパーティーを成功させるための3つのポイントを紹介します。
キックオフパーティーを計画する際、運営側は「会社の展望を伝えたい」「新しい方針を説明したい」といった「伝えたいこと」を優先しがちです。しかし、一方的な情報伝達ばかりのプログラムでは、参加者は退屈に感じてしまいます。
参加者が最後まで楽しめるように、以下のような点を意識して、プログラムを設計するとよいでしょう。
経営層のスピーチやプレゼンテーションは、最も伝えたい要点に絞り、できるだけ簡潔にまとめる。一方で、参加者同士が自由に交流できる歓談の時間や休憩は十分に確保することがおすすめ。
参加者が「ただ聞いているだけ」にならないよう、Q&Aセッションや簡単なグループディスカッション、参加型の企画など、主体的に関われる機会を作る。
社員の誰もが楽しめる企画を心がけるとともに、特にハイブリッド開催の場合はオンライン参加者が疎外感を抱かないよう、チャットでの質問を積極的に拾うなどの配慮をする。
「自分たちのために開かれたイベント」と参加者が感じることで、当事者意識が芽生えるきっかけとなり、満足感も高まります。
キックオフパーティーの効果は、その場の盛り上がりだけでなく、翌日からの社員の行動にどうつながるかで決まります。「楽しかった」という感情を、具体的な行動への意欲へと転換させるための仕掛けが不可欠です。
たとえば、パーティーの終盤に数分間だけ、明日から実践する行動について各自でカードに書き出す時間を設けるのもよいでしょう。大きな目標ではなく「週に一度は他部署の人と話す」といった無理のない目標で問題ありません。自分の言葉で書くことで、目標がより自分ごととして意識されやすくなります。
また、締めの挨拶では、楽しかった時間に振り返りに加えて、「この気持ちを忘れず、明日からまた一緒に頑張りましょう」という前向きな言葉で締めくくることも大切です。
キックオフパーティーを一度きりのイベントで終わらせず、会社の文化として根付かせるためには、参加者の声を反映させ続ける姿勢が必要です。イベントの熱が冷めないうちに、匿名アンケートなどで「最も心に残った瞬間」や「退屈だった企画」など、率直な意見を集めましょう。
重要なのは、その声を次回の企画にしっかりと活用することです。たとえば、「プレゼンテーションが長すぎる」という声が多ければ所要時間を見直し、「もっと交流したい」という意見があれば歓談の時間を増やします。
その地道な改善の積み重ねが、イベントの形骸化を防ぎ、社員にとって楽しみに感じられるキックオフパーティーを実現するでしょう。
本記事では、キックオフパーティーの概要から目的、準備、成功のポイントまでを幅広く解説しました。
キックオフパーティーは、会社の展望を共有し、社員の働く意欲を高め、会社としての一体感を生み出すための戦略的投資です。準備には多大な費用や労力がかかりますが、成功させることでそれ以上の効果や価値を期待できます。
キックオフパーティーを成功させるためには、参加者の立場に立ってプログラムを設計することが欠かせません。加えて、社員の次の行動につなげるための企画を取り入れる、社員の意見を集めて次回に反映させるという工夫も重要です。
ぜひ本記事で紹介したポイントや企画例を参考に、最高のスタートを切るための、記憶に残るキックオフパーティーを実現してください。
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