更新日:2025年5月20日
目次
アワード(社内表彰)は、社員のモチベーション向上や互いに認め合える文化の醸成に効果的な施策です。株式会社サイバーエージェントやトヨタ自動車株式会社、富士通株式会社など多くの会社が取り入れています。多くのメリットを期待できる一方で、その効果を最大限に引き出すには適切な設計と運用が欠かせません。
本記事では、アワード(社内表彰)の概念や実施メリット・デメリット、具体的な実施手順、チームビルディングの企画例について解説します。
アワード(社内表彰)とは、功績を上げた社員、会社の理念を体現した社員などを対象とした表彰制度のことです。アワードという言葉を日本語に訳すと「賞や報酬を与える」であり、会社におけるアワードは社内表彰を意味します。
売上目標達成などの成果を評価する会社もあれば、取り組む姿勢を重視する会社もあるなど、表彰する対象は会社によってさまざまです。年1回の頻度で開催されることが一般的ですが、会社によっては半期や四半期ごとに行う場合もあります。
一般的なアワード(社内表彰)は、次のように進められます。
アワード(社内表彰)でチームビルディング企画を実施することで、単なる表彰イベントに留まらず、社員同士の交流を活性化する機会となります。そのため、アワード(社内表彰)を実施する際には、表彰の後にチームビルディング企画を実施することがおすすめです。
紹介したプログラム構成は基本的なものですが、会社の理念や目標・目的に応じて変更を加えても問題ありません。自社に合ったプログラムを検討しましょう。
アワード(社内表彰)を実施することで、会社はさまざまなメリットを期待できます。ここでは4つのメリットを紹介します。
アワード(社内表彰)は、会社の理念を社員に伝えるきっかけにもなります。表彰の基準が会社の理念や目指す姿に結びついていれば、「自分もこのように行動すれば評価される」と、社員が気づくきっかけになります。
特に、入社間もない社員は、何を期待されているのかわかりにくく、具体的にどのような行動を取ればよいのか悩むケースも少なくありません。表彰を通じて目指すべき方向性を示すことで、目標が明確となり、社員が能力を発揮しやすくなります。
アワード(社内表彰)で日頃の努力が評価されると、表彰される社員本人はもちろん、他の社員にも良い刺激となる点もアワード(社内表彰)のメリットです。社員は「次は自分が壇上に立ちたい」という目標を持つようになり、会社全体のモチベーション向上につながります。
モチベーションが向上すれば、生産性が高まり、業績向上や新しいアイデアの創出を期待できます。また、役職や勤務年数に関係なく公平に評価する仕組みを整えることで、若手社員が早い段階から活躍しやすくなります。
アワード(社内表彰)で表彰される対象は、成果をあげた社員だけとは限りません。まだ成果につながっていなくても、目標に向かって取り組む姿勢などを表彰することも可能です。「自分の努力や挑戦が認められている」という実感が生まれ、社員のエンゲージメントが高まります。
エンゲージメントの向上は、人材の定着や生産性向上に効果的です。また、取り組む姿勢を称える仕組みにより、社員同士がお互いの頑張りを認め合う文化が醸成され、社員にとって働きやすい職場づくりにもつながります。
アワード(社内表彰)は、普段あまり関わりのない部署の仕事や社員について知る機会となります。「このような仕事があるのか」「このように活躍している人がいるのか」と新たな発見があるはずです。
表彰式の後にパーティーや懇親会を設けることで、社員同士の交流をさらに促進できます。「受賞おめでとうございます」という切り口から会話が始まり、普段は接点の少ない社員同士でも気軽にコミュニケーションを取ることが可能です。日常でもさまざまな相談がしやすくなり、部門を超えた連携がスムーズになるという効果も期待できます。
アワード(社内表彰)にはさまざまなメリットがある一方で、注意すべきデメリットもあります。
表彰の選考に納得感がなければ、社員は会社への信頼を失ってしまいます。たとえば、納得感のない社員ばかりが表彰されたり、毎回同じ社員が表彰されたりするなど、不公平な運用がなされると、自分の頑張りは評価されないという不満が生まれるでしょう。
その結果、「表彰は一部の社員のためのものだから自分には関係がない」という認識が広がり、社員のモチベーションが下がってしまうリスクがあります。
アワード(社内表彰)の実施には、一定の運用コストがかかります。具体的な運用コストは、以下の通りです。
適切に実施されるアワード(社内表彰)では、こうしたデメリットを上回るメリットを享受できます。毎年アワード(社内表彰)を実施する場合には継続的に運用コストが発生するため、コストを事前に検討し、無理のない形で運用しましょう。
アワード(社内表彰)の開催形式は、リアル、オンライン、ハイブリッドの3種類です。それぞれの特徴とメリット・デメリットを解説するため、自社にあった開催形式を選びましょう。
リアル開催は、社員を一か所に集めて実施する形式です。表彰者は参加者に直接祝福してもらえるため、臨場感があり、会場全体が盛り上がりやすいという特徴があります。
メリット | デメリット |
|
|
オンライン開催は、Web会議ツールなどを活用し、オンラインで実施する形式です。場所を問わず参加できるのが最大の強みで、離れた支社とも簡単に中継をつなげます。
メリット | デメリット |
|
|
ハイブリッド開催は、リアルとオンラインを組み合わせた形式です。表彰者と経営陣などをリアル会場に招いて表彰式を行い、その様子をオンラインで配信します。
メリット | デメリット |
|
|
アワード(社内表彰)をスムーズに実施するために、あらかじめ流れについて理解しておきましょう。
アワード(社内表彰)を計画する際には、なぜ実施するのかという目的を明確にすることが重要です。会社の目指す姿と現状とのギャップを分析し、解決すべき課題を特定しましょう。課題に応じて、アワード(社内表彰)がどのような役割を果たすべきかを定めることにより、後に決める選考基準に一貫性を持たせられます。
たとえば、若手社員の離職率が高いという課題を抱える場合には、アワード(社内表彰)の実施で若手社員のエンゲージメントを高めて、離職率を下げるという目標を立てるとよいでしょう。若手の挑戦を評価するアワード(社内表彰)を設け、新しいことに挑戦する姿勢を評価することで、若手社員のエンゲージメントが向上し、ひいては離職率の低下を期待できます。
表彰の納得感を高めるために、選考基準を明確にし、社内で共有しましょう。選考基準が曖昧であったり、共有されていなかったりする場合、アワードへの信頼を損ねかねません。「なぜあの人が表彰されて自分は表彰されないのか」という不信感が生じないよう、以下の点に注意して選考基準を決定しましょう。
アワード(社内表彰)の信頼性と公平性を確保するために、どのように選考を行うのかというプロセスも整理しておくことが重要です。審査の流れや審査員の選定方法などを明確にし、透明性のある選考を目指しましょう。
審査プロセスを設計する際のポイントは、以下の通りです。
最後に、表彰式そのものの内容を企画します。参加者の心に残るイベントにするには、演出や雰囲気づくりも欠かせません。
表彰式の企画の際は、以下のような点を検討しましょう。
表彰式は受賞者を称えるイベントであると同時に、社員のモチベーション向上やコミュニケーションの活性化という役割も担います。多くのメリットを享受できるように、会社の理念や目的に合わせた企画を立てて、より効果的なアワード(社内表彰)を目指しましょう。
アワード(社内表彰)に社員同士の交流を深めるチームビルディング企画を取り入れることで、より一体感が生まれます。リアル形式とオンライン形式に分けて、それぞれにおすすめの企画例を紹介します。
リアル形式で行う場合におすすめの企画例を紹介します。
企画アイデア | 特徴 | 1チームの人数 | 実施時間 | 屋内/屋外 |
マーダーミステリー | l 話し合いながら推理を進める
l 参加者の行動によって展開が変化する |
6〜7人 | 3時間 | 屋内 |
チャンバラ合戦 | l 誰でも短時間でルールを理解できる
l 老若男女問わず楽しめる l 軍議で戦術を話し合い、勝利を目指す |
– | 2〜2.5時間 | 屋内・屋外 |
謎解き脱出ゲーム | l 参加者が5〜6人のチームを組み、全員で協力して謎を解く
l 幅広い世代が楽しめる l チーム内での役割分担や情報共有の重要性を学べる |
5~6人 | 1.5〜2時間 | 屋内 |
オール社員感謝祭 | l 大人数での開催もスムーズに進められる
l 個人戦だけでなくチーム戦も可能 l 会社の歴史や製品に関する問題を出題し、会社への理解を深められる |
30〜2,000名 | 30分〜1時間 | 屋内 |
マーダーミステリーは、参加者が事件の登場人物になりきり、物語の中で役割を演じながら目的の達成や真実を見つけ出すアクティビティです。ゲームの説明を除いても2時間以上かかることが一般的で、長い場合には4時間以上になることもあります。
【アワード(社内表彰)での実施におすすめの理由】
目的を達成するためには長時間の思考が不可欠であり、深い没入感を味わえます。また、異なる部署の人を組み合わせてチームを編成することで、部署を超えた交流を促進できます。
チャンバラ合戦は、スポンジ製の刀で、敵の腕についているボールを落とすアクティビティです。合戦をテーマにしており、腕についたボールは命を表しています。
2軍以上に分かれて、最終的に多くの人が残ったチームが勝利というのがオーソドックスな戦い方です。その他にも、大将のボールを落としたら勝利、最終的に生き残った1人が勝利という戦い方もあります。
【アワード(社内表彰)での実施におすすめの理由】
普段デスクワークが中心の社員でも気軽に参加でき、年齢や体力差に関わらず楽しめるよう設計されています。チームでの作戦会議から実践、振り返りまでの一連の流れを通じて、ビジネスでも活きる戦略思考と実行力が自然と身につく点も魅力です。
謎解き脱出ゲームは、参加者自身が物語の主人公となり、制限時間内に謎を解いて脱出を図るアクティビティです。1チーム5〜6人に分かれ、1.5〜2時間程度で脱出を目指します。
【アワード(社内表彰)での実施におすすめの理由】
謎解き脱出ゲームは頭を使いながらも体力的な負担が少なく、普段とは異なる視点で社員同士のコミュニケーションを促進できます。さらに、謎を解く過程で自然とチームビルディング効果が生まれ、共有体験を通じた一体感を醸成できるのが大きな魅力です。
オール社員感謝祭は、自社ならではの問題を出題して盛り上がるアクティビティです。テレビ番組のような演出とプロのMCによる進行で、テレビ番組に出演しているような特別な空間を演出します。オール社員感謝祭は、リアル・オンライン・ハイブリッドのいずれの形式でも実施可能です。
【アワード(社内表彰)での実施におすすめの理由】
社内の出来事や歴史、製品知識など、自社に関連した独自の問題を出題すれば、「あの時のプロジェクトはこうだった」「この商品の開発秘話を知っている?」と盛り上がるでしょう。社員ならではの思い出や知識を共有する機会となり、エンゲージメントの向上を期待できます。
オンライン形式で行う場合におすすめの企画例を紹介します。
企画アイデア | 特徴 | 参加可能人数 | 実施時間 | 屋内/屋外 |
リモリンピック | l 同じ場所にいなくても汗をかき、結束力を高められる
l 得点や順位によって競争心が刺激される l ユニークな種目が多い |
– | 1.5〜2時間 | 屋内 |
リモ探 | l 1チーム最大20名と大勢で楽しめる
l 各グループが持つ情報をつなぎ合わせて推理を進める l 論理的思考力や情報分析力、リーダシップなどビジネススキルが身につく |
30〜200名 | 1〜1.5時間 | 屋内 |
リモリンピックは、オンラインで楽しく体を動かせるアクティビティです。制限時間内に自宅にある物を探してチームでしりとりする「ものしりとリレー」や、ボタン連打で問題の解答権を手にいれる「ピンポン”奪取”バトル」など、さまざまな種目があります。
【アワード(社内表彰)での実施におすすめの理由】
リモ探は、オンライン上で与えられた情報を整理・共有し、チーム全員の力で真実にたどり着くことを目指すアクティビティです。最大20名が1チームとなり、皆でさまざまな情報を推理・探索するため、論理的思考力や情報分析力、リーダシップを培えます。
【アワード(社内表彰)での実施におすすめの理由】
アワード(社内表彰)を効果的に実施するために意識すべきポイントを紹介します。
表彰の基準を設計する際には、個人の成果だけに目を向けるのではなく、組織への貢献も含めることが重要です。評価内容を個人の成果だけに限定すると、社員同士で足の引っ張り合いが起こり、ノウハウや情報が共有されなくなる恐れがあります。
ある社員が高い成果を出していても、その裏でチームの連携が崩れていたら、効果的なアワード(社内表彰)とは言えません。そのため、個人の成果に加えて、組織にどのように貢献できたかどうかも評価基準に含めましょう。
受賞者の記憶に残るようなアワード(社内表彰)を実施することで、受賞者や他の社員のモチベーション向上を期待できます。表彰式の舞台設計や照明効果、音響、映像演出などにこだわり、認められていると受賞者が感じられるようにしましょう。
特別感を出すポイントは、以下の通りです。
たとえば、ある会社では赤い絨毯を用意して受賞者を登壇させています。オリジナルトロフィーを贈呈する会社もあり、ハリウッドの授賞式のような特別な雰囲気を演出しています。
受賞者にとって忘れられない思い出となるように、日常とは異なる特別感を演出する工夫を施しましょう。
アワード(社内表彰)で表彰されることは社員にとって名誉のある体験になりますが、合わせて景品や記念品を用意することで、受賞者の満足度をさらに高められる可能性があります。
受賞者の満足度を高めるには、社員が喜ぶ景品を選ぶことが大切です。年齢や立場を問わず喜ばれやすいものとしては、商品券やカタログギフトなど、実用的な景品が特におすすめです。
効果的なアワード(社内表彰)を実施するには、経験とノウハウが必要です。特に初めての開催では想定外の課題に直面することも多く、企画から実施まで自社のみで行うのは容易ではありませんそのような場合におすすめなのが、イベント会社の活用です。企画や演出などを任せて効果を高められるうえに、必要なものの用意や手配もしてもらうことで担当者の負担を軽減することにもつながります。
また、チームビルディングや演出の要素のある社内イベント向けのコンテンツを保有しているイベント会社を活用することも効果的です。アワード(社内表彰)の実施についてご検討している方は、ぜひIKUSAにご相談ください。
アワード(社内表彰)を適切に設計・運用することで、社員のモチベーションやエンゲージメントを高められます。会社の理念を示す機会になり、さらにコミュニケーションを活性化することも可能です。
ただし、運用にあたっては公平性や運用コストなど、事前に注意しなければならない点もあります。運用次第では社員のモチベーション低下を招きかねないため、選考基準を明らかにしておくことが大切です。
また、チームビルディング企画を取り入れることがおすすめです。異なる部署の人を組み合わせてチームを編成すれば、部署を超えた交流を実現できます。社員が誇りを持ち、互いに認め合える文化の醸成に向けて、効果的なアワード(社内表彰)を実施しましょう。