更新日:2025年5月20日
目次
内定者懇親会は、採用活動における内定者フォローの一環として、多くの会社で開催されているイベントです。内定者同士や内定者と社員の交流を通して、会社への理解を深め、内定辞退を防止する役割を担っています。
本記事では、内定者懇親会の概要や、開催するメリット・デメリット、おすすめの企画アイデア、参加率を高めるためのポイントなど、幅広く解説します。
内定者懇親会は、内定者と社員、また内定者同士の親睦を深めるために実施するイベントです。内定者同士のつながりを深めるとともに、自社への理解を促す機会として多くの会社で実施されています。特に、複数の会社から内定を得ている学生が多い現在では、内定者フォローの一環としての懇親会の重要性が高まっています。
内定者懇親会は、次のようなタイミングで実施されることが一般的です。
内定を得た直後の学生は入社意欲が高まりやすいため、内定者懇親会を通じて志望度をさらに高められます。内定式と同日に開催すれば、内定者の移動の手間を減らすことが可能です。
内定式を終えた後でも、入社までの間に内定を辞退されるケースは少なくありません。継続的なフォローの一環として内定者懇親会を実施し、内定者の意欲を維持・向上させることが重要です。
内定者懇親会の開催方式は、リアル開催とオンライン開催の2つです。会社の状況や内定者の住所などを踏まえて、適切な開催方式を選びましょう。
リアル開催は、会社のオフィスや貸し会議室、ホテルの宴会場などに内定者を集めて開催する方式です。オンライン開催とは、ZoomやMicrosoft Teams、Google Meetなどのウェブ会議ツールを使用してオンラインで開催する方式です。
それぞれのメリット・デメリットを以下にまとめました。
メリット | デメリット | |
リアル開催 |
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オンライン開催 |
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リアル開催は、内定者の多くが近隣に住んでいる会社や、オフィス環境や社内の雰囲気を見てもらいたい会社に適しています。一方、オンライン開催は内定者が全国各地に分散している会社におすすめで、複数回に分けてフォローアップを行う場合にも効果的です。
内定者懇親会の開催には、内定辞退の防止に加えて、内定者の会社への理解を深められたり、内定者が入社後に人間関係を構築しやすくなったりするなど、様々なメリットがあります。以下では、主なメリットについて解説します。
内定者懇親会では、経営者や役員などから会社の理念や事業内容について直接説明する機会があります。そのような場を通じて、内定者は会社の方向性や目指す姿などについて理解を深められます。
また、社内の雰囲気や実際に働く場所の様子を見てもらうことで、内定者は入社後の働く姿を具体的に想像しやすくなります。入社後のギャップを軽減できて、早期離職の防止にも効果的です。
内定者懇親会の開催は、内定辞退を防ぐための有効な施策です。内定者同士の交流によって仲間意識が生まれるほか、社員との関わりを通じて会社に対する信頼感が醸成されます。内定者同士の交流や会社への理解を深めることで入社意欲が高まり、結果として内定辞退の低下が期待できます。
入社前に内定者同士で関係を築いておくと、入社後のコミュニケーションが円滑になります。入社時の緊張感が和らぎ、早期に職場に馴染みやすくなる点が大きなメリットです。また、内定者懇親会で先輩社員と接点を持っておくことで、入社後に困ったことがあっても相談しやすくなります。不安や悩みを一人で抱え込まずにすむ環境が整い、安心して業務に取り組むことが可能です。
内定者懇親会の開催には、いくつかの課題や懸念点もあります。効果的な懇親会を実施するために、デメリットを理解し、適切に対処しましょう。
内定者懇親会を開催するには、会場費や食事代、資料の作成費など、様々なコストがかかります。内定者に好印象を持ってもらうには、一定の品質を保たなければなりません。予算とのバランスを考慮しながら、会場や食事、演出などの内容を検討しましょう。
また、内定者懇親会の内容の検討や会場の確保など、内定者懇親会の開催には多くの準備が必要です。担当者は日常業務と並行して準備を行わなければならず、担当者にかかる負担は大きくなります。
内定者懇親会が適切に運営されなかった場合、かえって内定辞退のリスクが高まる可能性があります。例えば、会社が必要以上に参加を強要した場合は、内定者は会社との価値観の違いを感じ、内定を辞退してしまうでしょう。また、内定者懇親会における社員の振る舞いや発言がきっかけで、会社のイメージが損なわれてしまう可能性もあります。
ここでは、多くの会社で実施されている内定者懇親会のプログラム例を紹介します。
内定者懇親会では、代表取締役社長をはじめとする経営陣から内定者へ祝辞を述べ、会社の特徴や事業内容などについて説明します。会社の説明にとどまらず、経営陣から内定者へメッセージを伝え、歓迎していることを伝えましょう。期待している気持ちを率直に伝えることで、内定者のやる気の向上につながります。
座談会は、内定者と社員が自由に会話できる貴重な機会です。入社当初のエピソード、仕事の実態、不安の乗り越え方など、現場に近い情報を伝えられます。
特に年齢が近い先輩社員が参加すれば、内定者も質問しやすく、疑問や不安を解消しやすいでしょう。また、配属先の社員が参加することで、入社後のイメージが具体的になり、内定者の不安解消にもつながります。
グループワークは、内定者が数人ずつのチームに分かれて、指定されたテーマや課題に取り組む作業です。内定者同士が助け合ったり意見を出し合ったりする中で、相互理解が深まり、信頼関係を構築できます。先輩社員を各チームに1人ずつ加えることで、社員と内定者との関係づくりの機会にもなります。
グループワークでは、内定者の考え方や行動特性、チームでの役割意識などが明らかになります。実施する際には、リーダーシップの発揮度合いや協調性、課題に対する取り組み姿勢などに注目して観察するとよいでしょう。
食事会は、食事をしながらリラックスした雰囲気で交流を図る方法です。グループワークや座談会では見られなかった内定者の意外な一面を知ることもあるでしょう。
リアル開催の場合は、内定者懇親会の後に食事会を設けることが一般的です。オンライン開催の場合でも、会社から軽食や飲み物を内定者の自宅に送るなどの工夫をしている会社もあります。
内定者懇親会の内容は、会社によって異なりますが、一般的には以下のような流れで進行します。
所要時間の目安は3~6時間程度です。リアル開催の場合には、社内見学をプログラムに含める会社もあります。また、内定懇親会の終了後には、内定者同士で自主的に食事や飲み会に行く場合もあります。
内定者懇親会をより充実させるためには、企画を工夫することが大切です。内定者同士の交流を促進できる企画アイデア10種類紹介します。
企画アイデア | 特徴 |
ビンゴ大会 |
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Good&New |
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共通点探しゲーム |
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コンセンサスゲーム |
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絵しりとり |
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ジェスチャーゲーム |
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NASAゲーム |
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ドミノ倒し |
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ウソ・ホントゲーム |
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謎解き脱出ゲーム |
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ビンゴ大会では、参加者にランダムな数字が並んだビンゴカードを配ります。司会者が数字を1つずつ読み上げ、その数字がカード上にあれば、該当のマスを埋めていきます。縦・横・斜めのいずれか1列がそろったら「ビンゴ」と宣言するゲームです。
簡単なルールで、誰でも簡単に楽しむことができます。番号の発表、ビンゴの瞬間は大変盛り上がります。
通常のビンゴカードの代わりに、参加者に関連した条件を記載したカードを使用するというアレンジも可能です。例えば「○○県に行ったことがある人」「スポーツ観戦が趣味の人」など、参加者の個性や興味に基づいた項目を設定します。
Good&New(グッドアンドニュー)は、自分が24時間以内に感じた「うれしかったこと」または「新しい発見」を1人ずつ順番に話すゲームです。内定者の意外な一面を知るきっかけになる上に、ポジティブな話題を共有することで和やかな雰囲気づくりにも役立ちます。特別な準備がいらず、実施しやすいのも魅力です。
共通点探しゲームは、チーム内で会話をして、時間内にできるだけ多くの共通点を探し出すゲームです。出身地や経験、趣味などジャンルは自由であり、より多くの共通点を見つけたチームが勝利となります。共通点を見つけることで自然と距離が縮まるため、初対面でも打ち解けやすくなる効果があります。
コンセンサスゲームは、ある危機的な状況を想定し、その状況から脱出するための合意形成を行うゲームです。「海で遭難した」などの危機的状況において、必要なものの優先順位を個人で考えた後に、グループワークで話し合い、結論を出します。業務においても重要な意見の擦り合わせや、チーム内での合意形成のプロセスについて体験できる実践的なワークです。
絵しりとりは、絵だけでしりとりをつないでいくゲームです。紙とペンを用意して、最初の人は司会者が出すお題の絵を描きます。次の人は前の人が描いた絵を見て次の単語を想像し、絵を描いていきます。最後の人までしりとりが完成したら、参加者は自分が何を描いたかを順に発表し、誤認識が生じているか確認します。
絵の上手さは問われないため、誰でも気軽に参加できるゲームです。笑いが生まれやすく、リラックスした雰囲気を作れます。
ジェスチャーゲームは、身振り手振りのみで何を表しているのかを伝えるゲームです。司会者が出題し、ジェスチャー役は身振り手振りでお題を回答者に伝えます。わかった人は手を挙げて回答し、順番にジェスチャー役を交代していきます。
事前にお題を伝えると考える時間ができてしまうので、直前に伝えるのがおすすめです。
NASAゲームは、「月面で遭難した状況」を想定し、生き延びるために必要なアイテムの優先順位をチームで話し合って決めるゲームです。コンセンサスゲームの一種で、NASAが実際に宇宙飛行士の採用試験で使用した問題をアレンジしたものです。
チームメンバーと協働して課題に取り組む必要があり、論理的思考力やチームの結束力が試されます。NASAが科学的に導き出した模範解答があるため、チームの回答を正解と照らし合わせて、振り返ることが可能です。
ドミノ倒しとは、ドミノや身近な文房具などを使って、他のチームよりも長時間倒れ続ける仕掛けを作るゲームです。創意工夫とチームワークが求められます。
「長い時間倒れ続ける仕掛けを作る」という共通目標に向かって意見を出し合う中で、相互理解が深まります。完成後は実際に動かしてみて、仕掛けの工夫などをチーム間で共有します。
ウソ・ホントゲームは、自分にまつわるエピソードの中に1つだけウソを含め、他の参加者がウソを当てるゲームです。自己紹介の一環として実施するのもおすすめで、自己紹介の項目の中に1つだけ嘘を含めて、それを当てるゲームとしても活用できます。
謎解き脱出ゲームは、隠されたヒントを探しながら謎を解き、制限時間内に脱出を目指すゲームです。脱出するためには、得られた情報を共有したり、得意分野をもとに役割分担したりする必要があります。謎が解けた・脱出できたときの達成感は大きく、内定者同士の結束も強くなるでしょう。
内定者懇親会を開催しても、内定者に参加してもらえない可能性があります。できるだけ多くの内定者が参加するよう、ここでは参加率を高めるためのポイントを紹介します。
どれほど魅力的な内定者懇親会を企画しても、開催日が他の予定と重なってしまえば、内定者は参加できません。できるだけ多くの内定者に参加してもらうためには、早い段階で日程を案内し、予定を調整してもらう必要があります。
遅くとも開催日の1か月前までに日程を確定・告知しましょう。まだプログラムの詳細が決まっていなくても、先に日程のみを告知することが重要です。
また、告知から開催日までに期間が空く場合には、内定者が懇親会の存在を忘れてしまう可能性もあります。開催前日だけでなく、数週間おきにリマインドを行うことがおすすめです。
内定者懇親会への参加を促すためには、服装の制限を緩くすることも有効です。スーツの着用を求めると、内定者に堅苦しい印象を与えてしまい、参加への心理的ハードルを上げる要因になりかねません。「準備が面倒」と感じさせてしまうと、参加を見送る内定者が出てくることも考えられます。
先述したように、内定者懇親会の目的は、内定者同士の交流を深め、自社への入社意欲を高めることです。リラックスして参加してもらえるように、服装の制限を緩やかにして、参加しやすい雰囲気をつくりましょう。
内定者懇親会をリアル方式で開催する場合は、会場までの交通費を会社が負担することも参加促進につながります。特に遠方からの参加を検討している内定者にとっては、金銭的な負担が軽減されることで、参加のハードルが低くなります。また、内定者への配慮が感じられる対応は、会社への信頼感を高め、内定辞退の防止にも効果があります。
当日の混乱や誤解を避けるために、「交通費は実費支給」「上限◯円まで」など、明確なルールを事前に伝えておきましょう。
内定者懇親会は、内定者同士や内定者と社員との交流を深め、会社への理解を促進させる重要な機会です。特に複数の内定を持つ学生が増えている現在は、内定辞退を防ぐ有効な手段として、多くの会社が積極的に実施しています。
どれほど魅力的な内定者懇親会を企画しても、内定者にとって参加ハードルが高ければ、参加を見送られる可能性があります。遅くとも開催日から1か月前までには日程を告知し、また服装の制限は緩やかにしておくことがおすすめです。遠方から参加する学生の負担を軽減できるように、交通費の支給も検討するとよいでしょう。
内定者懇親会は一度きりのイベントではありません。内定式の当日や内定式後から入社日までの期間など、複数回に分けて開催することで、内定者の入社意欲を維持・向上できます。
内定者懇親会は単なる交流イベントではなく、会社と内定者をつなぐ重要な架け橋です。充実したプログラムと温かい雰囲気づくりで、内定者一人ひとりが「この会社で働きたい」と心から思える体験を提供しましょう。