更新日:2025年5月20日
イベントを成功させるには、ポイントを押さえ、十分に準備することが大切です。ノウハウを活用し、企画、準備、当日の運営まで失敗することなく進めましょう。
本記事では、イベント運営に関する企画・準備・当日の基本的な流れから、よくある失敗と注意点をわかりやすく解説します。
以下では、イベント運営における「企画」について、必要な段階を解説します。
まず、「何を届けたいのか」を具体的に定め、開催する目的を明確にすることが重要です。集客、販促、社員の交流、ブランディングなどの目的を明確にすることによって、イベントの内容を効果的にすることができます。
また、主催者側の全員が目的を理解していることも大切です。主催者間で目的の共通認識が取れていないと、振り返りや効果検証をする際の評価基準が曖昧になったり、イベントの進行中にイベントスタッフが効果的に行動できなかったりする可能性が高まります。
イベントの開催目的を明らかにすることで、イベントの方向性を確立でき、企画から準備、当日の運営を円滑に行うことにつながります。
目的が定まったら、次は「誰に向けたイベントなのか(ターゲット)」を明確にします。年齢層、性別、職業、興味・関心など、ターゲットの属性を具体化することで、企画内容・会場選び・告知方法などを効果的に行うことができます。たとえば、10代をターゲットにするならSNSなどを活用してキャッチ―な文面で告知することが効果的ですが、20~30代のビジネスパーソン向けであればビジネス文書の表現で告知することが望ましいといえます。
イベントを実施する際は、ターゲットを明らかにして、興味・関心や行動様式に合わせて適切な内容にすることが重要です。
イベントの規模や内容を決定するうえで、予算の設定は欠かせません。全体の予算枠を把握したうえで、会場費、出演者・スタッフの人件費、備品・装飾費、飲食費、広報・広告費、当日の運営費など、必要な項目を明らかにしてから配分します。
また、想定よりも経費が膨らむこともあるため、全体の1〜2割程度を予備費として確保しておくことも重要です。加えて、優先度が高く多くの費用を割く項目と、調整できる項目を明確にしておくことで、突発的な出費にも柔軟に対応しやすくなります。
費用と効果のバランスを意識して予算を分配しましょう。
参加者の満足度が高いイベントにするためには、魅力的なコンテンツを用意することが重要です。目的やターゲットに合わせて、「参加者がどのような体験をしたら満足するか」を起点にして企画を練りましょう。
イベントを実施する際は、すでにあるイベント向けのコンテンツを活用する場合と、新たに制作する場合があります。イベント会社や制作会社に依頼することで、コンテンツを制作することができます。
トークショーやワークショップ、展示、アトラクション、物販など、多様な要素を組み合わせることで、滞在時間が長くなり、参加満足度が高まりやすくなります。また、情報発信を促すために、写真映えを意識した「シェアしたくなる演出」も重視されています。
見た目や企画性だけでなく、参加者目線での「体験価値」を意識することが重要です。
コンテンツや内容が決まったら、イベントのプログラムを作成します。まずはイベントの内容・項目をすべて挙げて、実施する順番やそれぞれの項目に割く時間を決めていきます。また、プログラムを作成する際に、イベント会場の配置・レイアウトを明確にし、動線確保を行うことも大切です。さらに、プログラムに合わせて台本を作成することも重要です。
以下では、イベント運営における「準備」について、必要な段階を解説します。
イベント運営における全体のスケジュールを設定することで、進捗管理がしやすくなり、漏れ・ダブりを防ぐことにつながります。準備期間から当日、そして事後対応までを含めた全体スケジュールの日付、作業項目、担当者などを最初に確定させ、管理シートを作成しましょう。
円滑なイベント進行のためには、誰が読んでも分かりやすい運営マニュアルを作成することが重要です。当日の運営に関することだけでなく、準備段階からの手順・役割・スケジュールを整理しましょう。
受付・誘導・タイムキーパー・緊急時対応など、役割ごとの仕事内容を明らかにしておくことで運営上の混乱を防ぎやすくなります。また、フローチャートを用いて視覚的に分かりやすくなるように工夫したり、運営マニュアルを作成したうえで事前にシミュレーションを行って想定されるトラブルを洗い出したりすることも大切です。
会場は、イベントの雰囲気や参加者の満足度に直結します。まずは、想定される参加者数とイベントの趣旨に合った広さ・設備がある会場をリストアップしましょう。
アクセスのしやすさ、バリアフリーが考慮されているか、控室やトイレの数、電源やネット環境の有無なども確認しておくことが大切です。また、音響や照明が必要な場合は、その可否や追加料金の有無なども確認しておきましょう。
候補が複数ある場合は、下見を行い比較検討することが重要です。また、相見積を取ることもポイントとなります。予算内におさまり、参加者が快適に過ごせる空間を選びましょう。
イベントで使用する備品は、まず必要数を洗い出し、購入とレンタルのどちらが適しているかを判断しましょう。使い捨てや今後も使用する予定があるもの(名札、装飾、案内板など)は購入が適しています。一方、プロジェクターやマイク、テント、イスなど大型で保管が難しいものはレンタルのほうがよいでしょう。
レンタル業者を利用する際は、搬入・搬出のタイミングや破損時のルールなどを事前に確認しておくことが重要です。備品の漏れや不足を防ぐためにチェックリストを作成し、担当者を明確にしておきましょう。
イベントを円滑に進行させるには、役割ごとに必要な人数のスタッフを手配することが重要です。受付や誘導、司会進行、音響・照明、緊急対応など、必要な役割を洗い出し、担当者を割り振ります。
プロの技術が必要な音響や映像演出などを行うスタッフは、業者に人員手配を依頼することも検討しましょう。イベント当日にすべてのスタッフが適切に動けるようにするためには、役割や手順などをまとめた運営マニュアルの事前共有やリハーサルを行うことが大切です。
イベントの集客においては、伝えるべき情報を整理したうえで告知することが重要です。イベント名、開催日時、場所、参加方法・条件、申込の締切日など、必要な情報を整理しましょう。
内容が決まったら、ターゲットに応じてSNS、Webサイト、DM・チラシなどの媒体を活用して告知します。ターゲットの興味・関心を引くキャッチコピーやデザインの工夫なども集客に影響するポイントとなります。
設営に関する準備としては、まず会場のレイアウト図をもとに、受付・導線・ステージ・休憩スペースなどの配置を明確にしておきます。必要な備品や機材は事前にリストアップし、搬入順や設置方法も共有しておくと現場での混乱を防ぎやすくなります。
設営には十分な人数を確保し、担当エリアや作業手順を明確にしましょう。設営後は必ず動線確認と最終確認を行い、本番に備えます。
以下では、イベント運営における「イベント当日」について、必要な段階を解説します。
搬入作業の漏れや遅れが生じると、全体の進行に影響を与えます。まずは搬入物の一覧とチェックリストを事前に作成し、現場での確認漏れを防ぐことが重要です。搬入口の場所だけでなく、使用可能な時間、車両の停車位置も事前に会場側に確認し、搬入スタッフに共有しておきましょう。
備品は使用場所ごとに分類し、効率的に運べるように整理しておくと円滑に設営できます。また、破損や忘れ物に備えて予備も用意しておくことや、経験の浅いスタッフにも分かりやすいようにマニュアルを作成しておくことも大切です。
本番を想定してリハーサル(通し練習)を行うことで、司会進行や音響・照明などの最終確認ができます。進行に関する細かなズレや不明点をリハーサルで修正し、進行上のトラブルを防ぎましょう。
リハーサルに割く十分な時間を確保できない場合は、現場での確認が必要な項目を事前に洗い出し、要点をしぼって実施しましょう。短時間でも実施することで不安が取り除かれ、スタッフが連携しやすくなります。また、リハーサル後に運営上の変更点が生じた場合は、全体に共有し、認識のズレが起こらないようにしましょう。
イベント本番では、状況に応じて柔軟に対応することが大切です。たとえば、プログラムで定めたタイムスケジュール通りにいかない場面では、進行の調整が求められます。参加者が退屈していないか、困っていないかなど、会場全体の様子をスタッフ間で共有し合って対応することも重要です。また、イベントの終わり方も印象に直結するため、退出時の案内やお礼の一言、配布物の渡し方などにも気を配りましょう。
イベント終了後の片付けを行う際には、会場を搬入前の状態に戻す必要があります。ゴミの分別・廃棄の方法や撤収作業の段取りなどを事前に決めて周知しましょう。
レンタルした備品や機材に関しては、返却前に返し忘れや破損がないかなどを確認することが大切です。最後に会場の汚れや破損がないか確認し、現状復帰に努めることで、会場管理者との信頼関係を保つことにつながります。
イベント終了後は、関係者や協力者へのお礼を忘れずに伝えましょう。参加者、出演者、協賛企業、スタッフなどに感謝の言葉を届けることで、信頼関係の維持・強化につながります。お礼を伝えることは、主催者としての誠意を示す大切な行動となります。
イベント終了後にアンケートを実施することで、参加者の声を知ることができます。参加者の満足度や印象、改善点などを把握することで、次回の企画に具体的な改善策を講じることができます。
アンケートの回答率を高めるには、イベント直後にQRコード付きの用紙を配布する方法が効果的です。また、選択形式の簡潔な設問を作成し、回答のハードルを下げることも重要なポイントとなります。
イベント終了後に振り返りを行うことで、次回以降の改善につなげることができます。当日の進行状況、参加者の反応、トラブルの有無、アンケート結果などを整理することで改善点が明確になります。課題を洗い出すことで、より質の高いイベントづくりにつながります。
イベント終了後には、支出を確認することも重要です。事前に策定した予算と照らし合わせながら、会場費、出演者・スタッフの人件費、備品・装飾費、飲食費、広報・広告費、当日の運営費など、すべての支出を記録・分類しましょう。
実績と見積との差異を把握しておくことで、次回以降に予算を分配する際に活かすことができます。また、請求書や領収書の整理を徹底することで、精算作業や事後報告も円滑に行えます。
イベント運営におけるよくある失敗とポイント・注意点について解説します。
イベント参加者に多くの情報を届けるために、事前案内や当日の配布物などに情報を詰め込みすぎることがあります。イベント内容や注意事項などを網羅することは大切ですが、視認性が低かったり要点がわかりにくかったりすると、集客に悪影響がある可能性があります。
メールやチラシでは、1ページ内に収める・見出しを立てる・要点だけ色分けするなど、読みやすさを意識しましょう。「全部書いた」は必ずしも「全部伝わる」ではないという点に注意が必要です。
参加者目線を考慮することが不十分でホスピタリティが低いと、参加者にとって居心地の悪いイベントになりかねません。たとえば、案内が分かりづらい、動線が混雑している、コンテンツに温度差があるなどの不親切さが積み重なると参加者の満足度が大きく下がる可能性があります。
参加者がどのような流れでイベントを体験するかをシミュレーションし、「迷わない」、「待たない」、「浮かない」ように設計を意識することが重要です。事前にモニターなどを依頼し、第三者に確認してもらうのも有効です。
イベントの評価は体験の質だけでなく、記憶に残るかどうかにも左右されます。ただ楽しめただけでは印象に残りにくいこともあります。五感に訴えかける演出(香り・音楽・手触りのある配布物)や、感情が動く瞬間(驚き・笑い・共感)を盛り込むことで、記憶に残りやすくなるでしょう。
記念写真や参加証のような形に残るものも効果的です。また、参加者が主体的に関われることも印象を強めるために効果的なため、ワークショップ形式の内容を取り入れることがおすすめです。
イベントを企画しても、思うように集客できないことは珍しくありません。原因としては、ターゲット層が魅力を感じられないイベント内容・告知内容や、適切ではない発信手段、告知開始の遅れなどが挙げられます。「参加したい理由」が明確でないと興味・関心を持ってもらえない可能性が高まります。
オンラインの告知手段に限らず、対面での声かけやチラシ配布なども併せて行うことが効果的です。日時や場所の選定にも注意を払い、受けてが「自分ごと化」される伝え方や仕掛けを意識すると、集客数を増やすことにつながる可能性が高くなります。
イベント運営は、企画・準備・当日の進行・事後対応まで、段階ごとに多くの工程があります。企画内容が不十分であったり、準備が不足したりすると、トラブルや参加者の不満につながる可能性があります。全体を通して参加者目線を意識し、満足度の高いイベントにつなげましょう。