更新日:2025年5月21日
新しいプロジェクトの立ち上げや部署の再編成など、チームの結束力が求められる場面で効果的なのが「決起会」です。目標達成に向けた意識の共有やモチベーションの向上などを目的として、多くの会社で実施されています。しかし、どのように企画し、どのように進めればよいのかと悩む担当者の方も多いでしょう。
本記事では、決起会の概要から開催するメリット、当日の流れ、おすすめのレクリエーション企画まで幅広く解説します。
決起会とは、新規プロジェクトの発足時や年度の切り替わりなどに、社員が同じ目標に向かって気持ちを高め合い、一致団結するために開催されるイベントです。キックオフミーティングとも呼ばれます。
決起会では、プロジェクトの目標や方針を明確に共有し、参加者間の連携を強化することで、チーム全体の士気を高める機会となります。特に初対面の参加者が集まるプロジェクトでは、顔合わせとして開催されることも多いです。
懇親会や飲み会は、社員同士の交流や労いを目的とした比較的カジュアルなイベントです。一方、決起会はプロジェクトなどの始動にあたり、チーム全体で意思統一を図るために行われる、懇親会や飲み会よりもフォーマルなイベントとなります。
懇親会や飲み会、決起会との主な違いを以下にまとめました。
項目 | 決起会 | 飲み会 | 懇親会 |
主な目的 | 目標共有、モチベーションの向上など | リフレッシュ | 部署・チーム間の交流の促進 |
進行形式 | 目的共有や自己紹介などを行った後、交流する | 飲食を楽しみながら自由に会話する | 自己紹介やレクリエーションを取り入れて交流する |
決起会は、プロジェクトの成功の土台を築く重要なイベントです。顔合わせや懇親にとどめないためにも、決起会を開催する目的について理解しておきましょう。
以下では、決起会を開催する主な目的についてわかりやすく解説していきます。
決起会を開催する大きな目的のひとつは、共通の目標を参加者全員で共有することです。特に複数の部署が関わるプロジェクトでは、参加者の業務への理解度や価値観に違いがあることも珍しくありません。そのような場合でも「なぜこのプロジェクトを行うのか」「会社にどのように貢献できるのか」などについて丁寧に説明することで、認識のずれを解消し、連携しやすい体制を築くことができます。
初対面の社員や、異なる部署から集まった参加者で構成されるチームでは、業務の開始時点で人間関係が希薄な場合があります。円滑な業務の遂行には参加者間の信頼関係が欠かせないため、決起会を開催して信頼関係を構築する会社もあります。
決起会では、業務に関する説明だけでなく、自己紹介や雑談、軽いレクリエーションなどを取り入れることで、自然な交流を生み出すことが可能です。参加者同士が話しやすい雰囲気が生まれ、日々の相談や意見交換がよりスムーズになります。
一方的に指示を出すだけでは、参加者は自分に決定権がないと感じ、責任感が欠如しやすくなります。その結果、モチベーションが下がる可能性があります。
一方、プロジェクトに込めた想いや期待している役割を参加者に共有することで、参加者の当事者意識が高まり、自発的な行動へとつながります。このように、決起会は参加者のモチベーションを高めるための有効な手法です。
決起会の開催には、会社にとって多くのメリットがあります。
決起会を通じて目標の重要性や達成時のビジョンを共有することで、社員一人ひとりが自分の役割を再確認し、前向きな気持ちで業務に取り組めます。特に経営陣やプロジェクトリーダーからの熱意ある言葉は、チーム全体の士気を高める効果があります。結果として、スケジュールの前倒しや、成果の質の向上につながることも珍しくありません。
異なる部署から集まった参加者が、業務以外の場で交流することで、互いの人柄や考え方を理解しやすくなり、業務中のコミュニケーションが円滑になります。信頼関係が深まると、困難な状況でも助け合えるようになり、トラブルへの対応力も高まるでしょう。
そうして築かれた信頼関係は、プロジェクト全体の進行を後押しし、目標達成までの速さや成果の質にもよい影響を与えます。
効果的な決起会を実施するために、あらかじめ流れを理解しておきましょう。一般的な決起会の進行手順をご紹介します。
決起会は、プロジェクトリーダーや上司などによる開会の挨拶から始まります。この挨拶では、決起会の目的やプロジェクトの意義、参加者への期待、今後の展望などを簡潔に伝えましょう。
例えば、会社の未来を変える重要なプロジェクトであること、一人ひとりの貢献が不可欠であるといった前向きなメッセージを伝えると、参加者の意識を高められます。
参加者に初対面の参加者が多い場合は、自己紹介の時間を設けることが重要です。名前と所属に加えて、これまでの業務経験や専門分野、プロジェクトへの意気込みなども共有すると、相互理解が深まります。
大人数の場合は、1人あたり1分以内などの時間制限を設け、効率的に進行しましょう。また、休日の過ごし方や最近のマイブームなど、簡単な一言質問を加えることで、参加者の人柄が伝わりやすく、場が和やかになります。
次に、プロジェクトの概要や詳細について説明します。具体的には、プロジェクトの目的と背景、数値目標やスケジュール、各参加者の役割と責任、想定される課題とその対策などを共有します。
視覚的に理解しやすくなるように、PowerPointなどの資料を活用することがおすすめです。また、専門用語の使用はできるだけ避けて、誰にでもわかる言葉での説明を心がけましょう。認識のズレが起こらないよう、途中で質問を受け付ける時間を設けておくと安心です。
プロジェクトの概要や詳細を説明した後は、参加者からの質問や不明点に答える時間を設けましょう。この段階で疑問や不明点を解消しておくことで、プロジェクト開始後の混乱を防ぐことができます。
質問が出にくい場合は、司会者からよくある質問を紹介したり、小グループで意見交換する時間を設けたりすると、参加者自身が疑問点に気づきやすくなります。また、その場で回答できない質問があった場合には、後日回答する旨を伝えましょう。
質疑応答が終了したら、リラックスした雰囲気で交流できる時間を設けます。食事を提供したり、または軽食と飲み物を用意してレクリエーションを行ったりするも効果的です。
レクリエーションの内容を検討する際は、ただ楽しめるものだけでなく、チームワークの向上につながるものを取り入れると、より意義のある時間になるでしょう。
最後は、決起会の締めくくりとして閉会の挨拶を行います。参加者の中で役職が2番目に高い人が担当することが一般的です。
プロジェクトへの期待や、参加者への感謝の言葉などを盛り込みます。「全員で力を合わせてプロジェクトを成功させましょう」といった前向きなメッセージで締めくくると、参加者の意識が一つになるでしょう。
決起会を盛り上げ、参加者間の交流を促進するために効果的なレクリエーション企画をご紹介します。
チャンバラ合戦とは、スポンジ製の刀を使って敵チームと戦うアクティビティです。ルールはシンプルで、腕に装着した「命」のボールが打ち落とされたら、失格となります。
チームの戦略によって勝敗が左右される奥深さが魅力です。体力や運動能力の差が勝敗に影響しにくく、年齢や性別を問わず誰でも楽しめます。
さらに、作戦会議で参加者同士の交流を深められるのもおすすめのポイントです。戦術を立て、実行し、振り返るという一連の流れを通して、PDCAサイクルも学べます。
格付けバトルは、テレビ番組のような雰囲気で、俳句、紅茶、絵画、牛肉など4ジャンルから「一流の品」を見極めるアクティビティです。
プロの司会者による進行で、まるでバラエティ番組に出演しているような体験ができます。見たり、食べたり、嗅いだりと五感を使うため、記憶に残りやすく、思い出に残るひとときとなるでしょう。
オール社員感謝祭は、自社ならではのクイズ問題で盛り上がる、バラエティ型クイズ大会です。会社の歴史や社員に関する問題などをカスタマイズして出題します。
おなじみのクイズ番組のような演出やプロの司会者による進行で、テレビ番組に出演しているかのような体験ができます。スマートフォンで参加する仕組みを採用しており、参加者が大人数でもスムーズに進めることが可能です。
SNSの流行語やポケベル用語など、世代ごとの知識を問う「年代別クイズ」や、会社の歴史やロゴの変遷などをテーマにした「会社マニアクイズ」など、ユニークな企画も人気です。さらに、社員が登場して「わさび寿司を食べたのは誰?」などの実演を行う「実演クイズ」では、笑いが起きるような盛り上がりとともに、会場全体に一体感が生まれます。
謎パは、参加者全員で協力しながら謎を解いていく、謎解きパズルアクティビティです。参加者はそれぞれ異なる謎のかけらを持っており、情報を共有しながら謎を解いていきます。謎を解き明かしたら次々とミッションが発令され、すべてのミッションをクリアしたら最終問題に挑戦し、謎が解けたらクリアとなります。
全員が一つのチームとなり、協力してミッションのクリアを目指すため、一体感や達成感を味わえるのが特徴です。情報共有が必須となるため、普段あまり話さない参加者同士でも自然とコミュニケーションが生まれます。
10名から最大600名まで対応可能で、リアル開催はもちろん、オンライン開催にも対応しています。
NASAゲームは、宇宙船が故障して月面に不時着したという設定のもと、生存に必要なアイテムの優先順位をチームで話し合って決める合意形成ゲームです。
まずは個人で優先順位を考えた後、チームで意見を出しながら順位を再検討します。最終的なチームの回答と、NASAが用意した模範解答との差がもっとも少ないチームが勝利となります。
意見交換を通じて、参加者の思考プロセスや価値観を知ることができるのが特徴です。楽しみつつ合意形成の難しさや大切さを学べるゲームとして、多くの会社で実施されています。
インサイダーゲームは、参加者の中に1人だけ紛れ込んでいるインサイダー(内通者)を見つけ出すゲームです。
参加者はゲームマスターに対してYesかNoで答えられる質問を重ねながら、お題の答えを探っていきます。インサイダーはあらかじめ答えを知っており、答えを導きながらも、正体がバレないように立ち回らなければなりません。参加者が正解にたどり着いた後は、誰がインサイダーなのかを推理し、正体がバレなければインサイダーの勝利です。
敵対的な雰囲気になりにくいため、決起会のチームビルディングに取り入れやすいのが特徴です。チームの参加者を変更しながら複数回戦行うことで、様々な人と交流できます。
バブルサッカーは、上半身を覆う透明なバブルボールを装着して行うサッカーゲームです。バブルボールが衝撃を吸収するため、体当たりしても痛くありません。安全にぶつかり合いや転倒を楽しめる新しいスポーツとして、多くの会社で注目されています。
見ているだけでも笑いが起きる視覚的なインパクトがあり、参加者だけでなく観戦者も含めて場が盛り上がるのが特徴です。普段見られない上司や同僚の新しい一面に出会えるきっかけにもなり、決起会にぴったりです。
サッカー以外にも、ボウリングや相撲などにアレンジできます。過去の社内イベントでサッカーやバブルサッカーを行った場合には、参加者を飽きさせない工夫として、別のバリエーションを取り入れてみるのもおすすめです。
決起会を成功させるためには、事前の準備が欠かせません。ここでは、決起会開催に向けた主な準備についてご紹介します。
まずは、決起会の開催目的や日時、場所、予算、参加者の範囲、プログラムの構成など、概要を決めます。特に、企画全体の軸となる目的は明確にしておきましょう。
日程調整は早めに行い、重要な関係者が必ず参加できる日を設定します。理想的な開催タイミングはプロジェクトの開始直後ですが、準備期間も考慮して設定しましょう。場所は移動のしやすさやプログラムの内容に合わせて選定します。
決起会をスムーズに進行するためには、適切な司会者の選定が必要です。司会者には、場の空気を読みながら、ハプニングに臨機応変に対応できる人物が向いています。また、聞き取りやすく話せて、イベントの趣旨や内容を十分に理解していることも大切です。
司会者が決まったら、進行スケジュールを共有し、打ち合わせやリハーサルを行っておくと安心です。
司会者を決めたら、開会と閉会の挨拶を行う人を決めていきます。開会の挨拶はプロジェクトリーダーが担当し、閉会の挨拶は参加者の中で役職が2番目に高い人が行うことが一般的です。
挨拶を依頼する際は、決起会の目的や盛り込んでほしい内容、所要時間の目安などを伝えます。特に開会の挨拶は決起会の方向性を左右する重要なものなので、挨拶内容を事前に確認しておくとよいでしょう。
決起会の参加人数や企画内容に合った会場を選定します。アクセスの良さや収容人数、プロジェクター、音響設備などの設備、食事の提供可否、予算との兼ね合いなどを踏まえて検討しましょう。
社内の会議室を使用する場合は、装飾やレイアウトの工夫によって、特別感を演出することが大切です。また、アクティビティを予定している場合は、十分なスペースが確保できるかも確認しておきましょう。
【会場選定時の主な確認ポイント】
参加者に決起会の詳細を伝えるため、案内状やメールを送付します。開催日時と会場、アクセス方法、決起会の目的、プログラムの概要、参加可否の返信期限などを明記します。
アクティビティがある場合は、動きやすい服装を推奨するなど、当日の参加者の負担を軽減する配慮も忘れずに行いましょう。
決起会を効果的に実施するために、押さえておきたいポイントをご紹介します。
決起会を効果的なものにするためには、開催目的を明確にし、目的を達成できる内容を設計する必要があります。例えば「新規プロジェクトのビジョンと目標を共有し、参加者間の連携を強化する」という目的であれば、ビジョンを共有するプレゼンテーションと、交流を深めるためのアクティビティをプログラムに取り入れることが適切です。
また、どれだけよい内容を設計しても、参加者に目的が伝わっていなければ、効果が半減してしまいます。目的が不明瞭なままでは、参加者の受け取り方がバラバラになってしまうからです。
案内状やメールには目的を明記し、開会の挨拶でも改めて目的を説明しましょう。こうした事前共有があることで、参加者は自分の役割や期待されていることを意識しながら参加できるようになります。
レクリエーションや交流タイムを盛り上げるには、景品の用意が効果的です。予算内で、参加者に喜ばれる景品を選びましょう。
【人気の景品例】
優勝チームだけでなく、ユニークな発想賞やチームワーク賞など、複数の賞を設けて景品を贈ると、参加者のモチベーションを高めやすくなります。また、参加者全員の満足度を高めるために、参加賞を用意するのもおすすめです。
決起会を初めて開催する場合、参加者の中には「どのような服装で参加すればよいのか」と悩む方もいるでしょう。そのため、あらかじめ服装の目安を案内しておくことがおすすめです。
ここでは、決起会にふさわしい参加者の服装について紹介します。
ジャケットにスラックス、襟付きシャツといったスタイルが基本です。ネクタイの着用については、会社の企業文化や決起会の公式度に応じて任意か必須かを判断しましょう。
公式色が強い重要なプロジェクトの決起会では、スーツスタイルを推奨するのが適切です。一方、運動を伴うアクティビティがある場合は、その旨を事前に伝え、動きやすい服装での参加を案内しましょう。
ジャケットにスカートやパンツを合わせたコーディネート、またはワンピースなど、清潔感のある服装での参加を案内しましょう。アクティビティがある場合は、安全面への配慮としてパンツスタイルを推奨する旨を事前に案内することが望ましいです。
また、決起会の内容によっては、立ち時間や移動時間が長くなることがあります。参加者が快適に過ごせるように、長時間の立ち時間や移動時間を見越した靴選びについても記載しておきましょう。
決起会は、チームの一体感を育み、目標への意識を高めるための貴重な機会です。開催目的を明確にし、参加者全員が主体的に関われるアクティビティを用意することで、その後のプロジェクトの成功に大きく貢献します。
事前準備をしっかりと行い、参加者が「参加して良かった」と思えるような有意義な時間を提供することが重要です。決起会で築いた一体感と高いモチベーションを、その後の業務に活かせるよう、フォローアップも忘れずに行いましょう。