更新日:2025年5月26日
社員が異動や海外赴任をすることになり、その前途を祝して「壮行会」を開催することがあります。人事・総務担当者の方は壮行会の運営を任されることも少なくないでしょう。
本記事では、壮行会の概要から他の会合との違い、開催するメリット・デメリット、準備の流れ、そして盛り上がる企画までを詳しく解説します。
壮行会とは、異動や海外赴任などにより、一時的に会社を離れる社員の新たな挑戦を祝福し、温かく送り出すための会合です。「壮行」という言葉には、「旅立ちに際し、将来の活躍を祝して励ます」という意味があります。
壮行会の対象となる社員には、以下のようなものが挙げられます。
送る側の社員は、本人の新天地での活躍を期待し、激励の言葉とともに温かく送り出します。
会社では様々な場面で会合が開催されますが、それぞれの目的や対象者は異なります。壮行会と似ている会合について、違いを整理してみましょう。
会合の種類 | 概要 | 壮行会との違い |
送別会 | 退職や転職、定年退職など、永続的に会社を離れる社員に、これまでの功績や感謝を伝えるための会合 | 再び社内で会う可能性があるかどうか |
激励会 | 試合や大会、プレゼンテーションなどに臨む社員を励ますための会合 | 異動・赴任を伴うかどうか |
慰労会 | 業務やプロジェクトを無事に完了した社員に対し、これまでの努力や成果をねぎらうための会合 | これから始まることを祝うか、終わったことをねぎらうか |
歓送迎会 | 新しく配属された社員の歓迎と、異動や退職によって会社を離れる社員の送別を同時に行う会合。人事異動の多い時期に実務的な目的で開催されることが多い。 | 送り出すことに特化しているか、歓迎と送別を同時に行うか |
壮行会と送別会の主な違いは、再び社内で会う可能性があるかどうかです。
送別会は、退職や転職、定年退職など、永続的に会社を離れる社員を対象とした会合です。これまでの功績や感謝を伝えることを目的としており、落ち着いた雰囲気の中で別れを惜しむ時間が流れます。
一方、壮行会は、一定期間後に会社へ戻る可能性のある社員を対象としています。前向きな激励の気持ちを込めて開催され、「また一緒に働ける日を楽しみにしている」といった言葉が交わされるのが特徴です。
壮行会と激励会の主な違いは、異動・赴任を伴うかどうかです。
激励会は、試合や大会、社内コンテストなどに臨む社員を励ますための会合です。壮行会と異なり、人事異動は伴わず、日常業務の延長線上にある挑戦を応援するために行われる場合が多く見られます。
壮行会と慰労会の主な違いは、これから始まることを祝うか、終わったことをねぎらうかという点です。
慰労会は、業務やプロジェクトを無事に完了した社員を対象に、これまでの努力や成果をねぎらうための会合です。これから始まる挑戦を祝う壮行会とは異なり、終えた取り組みへの感謝や労いを伝えます。
たとえば、繁忙期の後やプロジェクト納品後などに開催されることが多いです。
壮行会と歓送迎会の主な違いは、送り出すことに特化しているか、歓迎と送別を同時に行うかです。
歓送迎会は、新しく配属された社員の歓迎と、異動や退職によって会社を離れる社員の送別をあわせて行う会合です。人事異動が多い時期に開催されることが一般的で、新しく来る人と去る人が混在するため、個別に時間を割いて話すのが難しい場合もあります。
一方、壮行会は送り出すことに特化した会であり、対象者の全員が「送り出される側」となります。個別に時間を割いて話をしやすく、より丁寧に門出を祝える機会といえるでしょう。
壮行会は、送り出される社員にとって大きな励みとなるだけでなく、会社全体の結束力を高める機会でもあります。ここでは、壮行会を開催する代表的なメリットをご紹介します。
異動や海外赴任など、新しい環境に挑む社員にとって、同僚や上司などからの応援は心の支えになります。たとえば、初めての海外赴任に不安を感じている社員が、壮行会で「あなたなら安心して任せられる」と声をかけられれば、その言葉が背中を押してくれるでしょう。
壮行会は、部署や役職の枠を越えて、社員同士の交流を促す良い機会にもなります。送り出される社員に関わりのある社員が多く集まるため、普段の業務では接点の少ない社員同士にも自然と会話が生まれます。
また、準備や運営を進める中で、コミュニケーションが活発になり、運営メンバーの結束が深まる点もメリットです。特に若手社員が担当する場合は、責任感や主体性を発揮する経験にもなります。
壮行会には様々なメリットがある一方で、開催にあたっては事前に把握しておきたいデメリットもあります。ここでは、開催時に気を付けたいポイントと、円滑に進めるための工夫をご紹介します。
壮行会の開催には、日程調整や会場の手配、案内状の作成、進行プログラムの設計など、様々な準備が必要です。特に幹事を担当する社員にとっては、通常業務と並行して対応しなければならず、負担に感じることもあるでしょう。
担当者の負担を軽減するには、役割分担を明確にし、複数人で準備を進める体制を整えることが大切です。たとえば、会場の手配や出欠確認、会計処理などの業務を分担すれば、一人あたりの作業量を抑えられます。また、過去の開催記録や、以前使用された案内状や進行台本などの社内資料を参考にすることで、準備作業を効率的に進めることが可能です。
壮行会を開催する場合、会場費や飲食費、プレゼント代などが発生します。壮行会の規模によっては、費用が高額となることがあるため、必要な費用をあらかじめ算出し、全体でどれくらいの費用がかかるのかを把握しておきましょう。
費用を抑えるために、社内の会議室や社員食堂などを会場に選ぶという方法もあります。会場費を大幅に削減できるだけでなく、設営や片付けの時間も調整しやすくなります。また、外部の会場を利用する場合には、早期予約による割引を活用するのもおすすめです。
壮行会を円滑に進行するためには、基本的な流れをあらかじめ把握しておきましょう。ここでは、一般的な進行例とともに、それぞれの段階で意識したいポイントをご紹介します。
まず幹事が登壇し、参加者に感謝の気持ちを伝えつつ、壮行会の趣旨を簡潔に説明します。たとえば、「本日は〇〇部長の新たな挑戦を祝うため、多くの皆さまにお集まりいただきました」といった前向きな言葉を添えると、会場の雰囲気が和やかになります。
次に、参加者の中で最も役職の高い人が登壇し、主役となる社員のこれまでの活躍に触れながら、今後への期待を語ります。話す時間は3〜5分が目安で、業績や人柄などに関する具体的な内容を交えると、参加者の共感を得やすくなります。
代表者の挨拶に続き、参加者の中で役職が3番目に高い人が乾杯の音頭を取り、参加者はグラスを掲げます。「それでは〇〇さんの新たな挑戦と、さらなるご活躍を願って乾杯!」というように、明るく前向きな言葉で締めましょう。
乾杯後は、食事を楽しみながら自由に歓談する時間です。幹事は、主役ができるだけ多くの参加者と会話できるよう配慮し、テーブル移動を促したり、話題のきっかけを作ったりすることが求められます。たとえば、「こちらのテーブルでもご挨拶をお願いします」と声をかけることで、交流が活性化します。
食事と歓談の時間は、40〜60分程度を目安に調整しましょう。
歓談が落ち着いてきたタイミングで、主役と関わりの深い上司や同僚が一言ずつ挨拶を行います。思い出話や感謝の気持ちを交えながら話すと、会場全体が温かい雰囲気に包まれるでしょう。
壮行会の中心となるのが、主役である社員から参加者への挨拶です。これまでの感謝や今後の抱負を自分の言葉で伝えます。たとえば、「皆さんと共に過ごした時間があったからこそ、次に進む勇気を持てました」というように、率直な気持ちを伝えるとよいでしょう。
締めの言葉は、参加者の中で2番目に役職が高い人が担当するのが一般的です。送り出される社員への激励と、参加者への感謝を伝えた上で、一本締めなどで会を締めくくります。たとえば、「〇〇さんの挑戦が、私たちにも良い刺激になります」といった言葉でまとめると、場が引き締まります。
最後に幹事が閉会の挨拶を行い、必要に応じて記念撮影や二次会の案内を行います。
集合写真を撮る場合は、「〇〇さんを囲んで記念撮影を行いますので、前方にお集まりください」と呼びかけるとスムーズです。撮影の際は主役を中央に、関係の深い社員を近くに配置するとバランスよく仕上がります。
壮行会を成功させるためには、当日の進行に加えて、事前の準備が非常に重要です。ここでは、壮行会の準備の基本的な流れについて解説します。
主役である社員のスケジュールを最優先に、上司や関係者の都合も考慮して、日程を決めましょう。候補日をいくつか提示し、関係者の出席可否を早めに確認しておきましょう。日程調整には「調整さん」や「スケコン」などの日程調整ツールを活用すると、参加者の回答を一括で管理できるため、手間を大幅に減らすことができて便利です。
壮行会の準備・運営には、多くの作業が発生します。一人で全てを担うのではなく、あらかじめ業務を分担しておきましょう。
【主な担当項目】
挨拶を依頼する相手には、遅くとも1週間前には依頼しておくと、準備の時間を確保してもらいやすくなります。
参加人数や予算に合った適切な会場を選定します。外部の飲食店やホテルなどを利用する場合は、立地や雰囲気、料理の内容、予算などを総合的に考慮して検討しましょう。
特に、年度末や年度初めなど人事異動の多い時期は、人気のある会場は早く埋まる傾向にあります。開催日程と参加人数の目安などが決まったら、早めに予約しましょう。
日程と会場が決まったら、参加者全員に案内状を送ります。メールや社内イントラネットなどを活用し、以下の情報を伝えます。
送り出される社員本人には、別途個別で連絡を取り、主役であることやスピーチのお願いなどを伝えておきましょう。当日のスピーチや準備に関する相談にも応じると、本人も安心して臨めます。
壮行会をより印象的なものにするために、会場を盛り上げる出し物・企画を取り入れることがおすすめです。ここでは、特におすすめの出し物・企画7選を紹介します。
おすすめの企画 | 概要 | 必要なもの |
寄せ書きカード | 参加者全員からのメッセージを1枚のカードにまとめて、主役に贈る演出。形に残る記念品としても人気がある |
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ビンゴ大会 | 誰でも楽しめる定番ゲーム。景品や進行に工夫を加えることで、さらに盛り上がる |
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クイズ大会 | 主役にまつわるクイズで盛り上げる企画。主役の人柄やエピソードを振り返る機会にもなる |
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スピーチリレー | 主役以外の参加者が順番に短くスピーチし、主役への思いを言葉で伝える感動的な演出 |
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スケッチブックリレー | 参加者がスケッチブックにメッセージを書く様子を撮影し、リレー形式でつないだ動画を上映する演出。映像と実物のスケッチブックの両方が主役への贈り物になる |
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人間アーチ | 参加者でアーチを作り、主役にその下をくぐってもらうシンプルながら温かい演出 |
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サプライズゲストの招待 | 家族や恩師などを当日サプライズで招待し、主役にとって特別な再会を演出する企画 |
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ここからは、おすすめの企画について解説していきます。
寄せ書きカードは、参加者全員から送り出される社員へのメッセージを集めたカードです。色紙やメッセージブックなど、様々な記入形式があります。参加者から事前にメッセージを書いてもらい、壮行会の最後にプレゼントするとよいでしょう。
寄せ書きの最大の魅力は、一緒に働いてきた仲間からの想いを形に残せることです。送り出される社員が新天地で孤独を感じたり、困難に直面したりしたとき、寄せ書きは大きな心の支えになります。また、準備の手間が比較的少ないにもかかわらず、受け取った相手に大きな感動を与えられるのも特徴です。
ビンゴは特別なスキルや知識を必要とせず、誰でも簡単に楽しめるゲームです。壮行会という特別な場でも、緊張感を和らげ、参加者同士の交流を活性化させる効果があります。
一般的なビンゴ大会とは一味違う特別感を演出したい場合には、IKUSAのクイズ・ビンゴ大会がおすすめです。プロの司会者が進行を担当するため、バラエティ番組のような非日常感を味わえます。
ビンゴには専用のシステムを使用しており、参加者はスマートフォンでQRコードやURLにアクセスするだけで簡単に参加できます。抽選された番号は各自のカードに自動で反映されるため、大人数が参加する場合でも円滑に進行することが可能です。
送り出される社員に関するエピソードを題材にしたクイズ大会は、壮行会を盛り上げる人気の企画です。「〇〇さんの好きな食べ物は?」「〇〇さんの入社当時のエピソードは?」など、参加者全員が楽しめるクイズを用意しましょう。誰でも回答しやすいように、○×形式や選択式にするのもおすすめです。
クイズを通じて、主役である社員の人柄や功績を振り返れるのも、クイズ大会の大きな魅力です。仕事での成功体験や趣味に関する質問を織り交ぜることで、意外な一面が見えてくる楽しさもあります。
スピーチリレーとは、参加者が順番に短いスピーチを行い、主役である社員への思いを伝える企画です。送り出される社員との思い出や感謝の言葉、エールなどを述べると、送り出される社員にとって忘れられない時間となるでしょう。
スピーチリレーの大きな特徴は、多くの人が直接言葉で気持ちを伝えられる点です。普段は照れくさくて言えない感謝の気持ちも、温かい雰囲気の中なら素直に伝えられるでしょう。
参加者が多い場合でも円滑にスピーチを回せるように、主役との印象的な業務や主役から学んだことなど、事前に簡単な話題を用意しておくことがおすすめです。
スケッチブックリレーは、参加者がスケッチブックにメッセージを書いている様子を撮影して、一本の動画に編集してつなげる演出です。スケッチブックを実際にリレー形式で受け渡しているように見せる編集が特徴で、印象に残る仕上がりになります。
準備には撮影・編集の手間がかかるものの、その分、感動的で特別な壮行会を演出できる企画です。上映後にスケッチブックを主役である社員に贈れば、心に残る記念品になります。メッセージには文字に加えて、写真やイラストを添えると、より個性的に仕上がります。
人間アーチとは、主役以外の参加者が2列に並び、向かい合った人同士で両手を合わせて作るアーチ上の通路のことです。送り出される社員にその下をくぐってもらい、社員の新しい門出を祝福します。
特別な準備や道具が不要で、人数が多いほど迫力が増すため、大規模の壮行会に向いています。アーチをくぐる際に、参加者がエールや拍手を送ることで、主役である社員は皆に背中を押されているような温かさを感じられるでしょう。
また、人間アーチの様子を動画におさめておけば、後から見返して楽しめます。即興で実施することも可能ですが、会場の広さや導線をあらかじめ確認し、実施のタイミングを計画しておくと、より円滑に行えます。
送り出される社員の家族や以前の同僚、恩師など、普段はなかなか会う機会のない人をサプライズゲストとして招待するのも、壮行会におすすめです。サプライズゲストの登場は、主役である社員に大きな感動をもたらします。
その演出を成功させるには、入念な準備と関係者との綿密な打ち合わせが不可欠です。ゲストの入場タイミングや滞在時間などを事前に相談しておくことで、トラブルなく感動的な演出を実現できます。主役以外の参加者にも秘密にしておき、全員で驚きと感動を共有しましょう。
壮行会では、送り出される社員にプレゼントを贈ることが一般的です。気持ちのこもったプレゼントは、新天地に向かう社員にとって大きな励みになります。
選ぶ際は、相手の性格や趣味などを考慮すると、喜ばれやすくなります。以下に、特におすすめのプレゼントとその特徴を一覧にまとめました。
おすすめのプレゼント | 概要 | 具体例 |
実用的なアイテム | 赴任先での仕事や生活の中で使うため、ふとした瞬間に送り出した人たちのことを思い出してもらえる |
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名入れギフト | 名前入りの記念品は特別感があり、長く手元に残してもらえる |
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グルメギフト | 慣れない土地でも、なじみの味や特別感のあるグルメを通じて、送り出してくれた人たちの気遣いを感じてもらえる |
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体験ギフト | 体験を通じた思い出が残りやすく、赴任先での新生活を楽しむきっかけにもなる |
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壮行会は、栄転や長期出張などにより、一時的に会社を離れる社員の門出を祝い、激励するための会合です。準備に手間と時間がかかり、会場費などの費用が発生するため、送り出される社員にとっては大きな励みになり、送る側の社員にとっても結束力を高められる貴重な機会です。栄転や出張などで一時的に会社を離れる社員がいる場合は、壮行会を開いて温かく見送りましょう。
壮行会を成功させるには、計画的な準備が重要です。1人で準備を進めるのではなく、日程調整や会場の確保、当日のプログラム作成まで、幹事を中心に協力して準備を進めましょう。
また、参加者の記憶に残る壮行会にするために、会場を盛り上げる出し物・企画を取り入れることがおすすめです。具体的には、寄せ書きカードやビンゴ大会やクイズ大会、スピーチリレーなどの企画を取り入れるとよいでしょう。本記事で紹介したおすすめの出し物・企画を参考に、参加者の心に残る壮行会を開催してください。