更新日:2025年6月6日
目次
イベントを管理するには、情報を整理し、目的に合ったツールを活用することが大切です。
本記事では、イベント管理の概要、具体的な業務項目・業務内容、ポイント・注意点、おすすめのツール3選・イベント管理システム6選を解説します。
イベント管理とは、進行に遅れが出ていないか、支出が想定内か、必要な情報が関係者に共有されているかなど、イベント開催にまつわる事柄全般を管理することを指します。イベントの管理は、イベント運営の業務に含まれますが、イベント運営で注目されがちなコンテンツ内容や企画を決めることとは異なり、決定した企画やスケジュールを確実に遂行できるように調整し、維持する役割を担います。
具体的な業務内容は以下のとおりです。
業務項目 | 業務内容 |
スケジュール管理
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タスクを洗い出し優先順位を決め、進行スケジュールを作成します。共有後も、進捗状況を随時確認し、臨機応変にスケジュールの変更に対応できると良いでしょう。 |
予算管理 | 人件費、備品・装飾費、飲食費、広報・広告費、当日の運営費など予算の見積もりを行います。領収書の回収はイベント後に行うと紛失の恐れがあるため、提出期限を領収書発行から1週間以内などに定め、支出を記録しましょう。 |
参加者の情報管理
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参加者・出展者・登壇者リストを作成し、あわせて連絡先管理も行います。誰でもアクセスできる状態は避け、セキュリティ対策を徹底しましょう。 |
リスク・トラブル管理 | 想定されるリスクやトラブルの洗い出しを行い、対応策を考えます。 |
各種チェックリストの作成と運用 | 設営・撤収、備品、持ち物リストなどのチェックリストを作成しましょう。リストを共有し、作業の進捗を可視化することで、作業の漏れを防ぐ効果があります。 |
イベントの記録・報告
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参加者の傾向やイベントの改善案、成功したポイントなどをまとめて報告書を作成します。あわせて引き継ぎ資料を作成することで、次にイベントを開催する場合にもマニュアルとして活用できるでしょう。 |
以下では、イベント管理を行うポイント・注意点について解説します。
イベント管理では、扱う情報がスケジュール・予算・参加者リスト・進行スケジュール・備品・関係者の連絡先など、多くあります。イベントに関わる多くの情報は、1つの場所やツールでの管理を徹底することが重要です。
イベント管理に関わる多くの情報を別々に管理していると、情報が抜けたり、重複したりする可能性が高まるため、ミスが発生しやすくなります。イベント管理をする際は管理ツールを使用し、関係者がいつでも最新版にアクセスできる状態が望ましいでしょう。また、情報の更新ルールを明確にしたり、フォルダやファイル名の統一ルールを設けたりすると、複数人での作業もスムーズに行えるでしょう。
イベントを実施する場合、複数のタスクを同時並行で進めるため、誰がなにを担当するのかを曖昧にしていると、対応に穴が生まれやすくなります。
たとえば、スケジュール関連では、イベント前からイベント後までのタスクの洗い出し・優先順位決定・スケジュール作成、備品関連では必要なものの洗い出し・購入かレンタルの選定・手配・レンタルの場合は返却の対応など、細かいタスクごとに役割を明確にすることで、それぞれが自分のすべきことを把握できます。
イベントを管理するには社内調整が重要です。営業・広報・総務など複数の部署との連携が求められるため、「誰に・いつ・どのように伝えるか」をあらかじめ整理しておきましょう。
その際、関連情報をまとめて共有したり、細かく共有する場合もまとめて再確認したりするなど、混乱させないような対応を取れるとスムーズな連携が期待できます。また、関係部署の承認が必要な場合は、イベントの進行スケジュールや関係部署の繁忙期を避け、タイミングを見た上で余裕を持って行動するのが良いでしょう。
イベントを管理することで、タスクの進行状況や予算配分がすべて自分たちの目で確認できる状態になります。
たとえば、予算のうち「なににどれだけ使ったか」「見積もりと実際の支出にどの程度の差があったか」といった情報が明確に把握できるようになるため、必要に応じた調整や迅速な判断が可能です。透明性を高めることで、柔軟に対応することができれば、より効果的なイベント実施に繋がることも期待できるでしょう。
イベントを適切に管理することで、課題・改善すべき点が明確になり、ノウハウが蓄積されます。
たとえば、進行表のテンプレート、各種チェックリスト、リスク対応フローなどを明確にし、課題・改善点を洗い出すことで、イベント管理をブラッシュアップしていくことが大切です。
イベント管理は、準備から事後対応まで業務が多岐にわたり、人員に余裕がないと関連部署の負担が大きくなりすぎる可能性があります。イベント前のイベントページ作成、告知、イベント実施、アンケート集計、データ分析などに対応するために必要な人員を確保しましょう。
イベントには予期せぬトラブルがつきものです。たとえば、当日搬入する備品が手元にない、スタッフの欠員など臨機応変な判断が求められる場面もあるでしょう。
イベント管理の経験や対応ノウハウが不足している場合には、初動が遅れたり判断を誤ったりする可能性もあります。特に複数人が関わる場合は「誰が指示を出すか」が曖昧になり、混乱を招く原因にもなり得ます。不測の事態にも対応できるように準備を徹底することが重要です。
イベント管理を行う場合、担当者だけで情報を抱えてしまうことも考えられ、属人化が進むリスクがあります。たとえば、連絡先リストや会場・業者とのやりとり、最新のデータなどが特定の社員にしかわからない状態になると、急な引き継ぎや欠勤時の対応に、より時間がかかる可能性も高くなるでしょう。
また、属人化が進むことで次回イベント時にノウハウを満足に活かせなかったり、再構築が必要になったりと、組織としての経験を蓄積することが難しいという側面もあります。マニュアル化や情報共有の透明性確保をすることで、属人化を避けましょう。
ここからは、イベント管理システムについて、メリットとデメリットを解説します。
以下では、イベント管理システムを活用するメリットを紹介します。
イベント管理システムを導入すると、これまで手作業で行っていた業務を効率的に行えるようになるでしょう。
たとえば、参加申込後の受付メールやリマインド通知の自動送信、支払い状況の確認、アンケート回収など、複数の業務を自動処理できるため、工数を削減する上で人的ミスの減少も期待できます。
イベント管理システムは、当日の受付や進行においても活用できます。
たとえば、受付でQRコードを読み取ることでチェックインを即時に記録する機能が備わったシステムの場合は、混雑や人的エラーの緩和を期待できるでしょう。入退場の状況をリアルタイムで把握できるため、想定より参加者が少ない・多いといった状況にもすばやく対応できます。さらに、プログラムや資料のデータ共有機能、イベント動画の視聴が可能なシステムを使えば、参加者の満足度の向上も期待できます。
参加者データ、より集客に繋がる告知方法、入場が増えた時間帯、アンケート結果などのデータが自動的に蓄積されるため、次回以降のイベントに活かせる知見が得られます。
たとえば、「どの集客チャネル(企業が商品やサービスを顧客に届けるための経路)が有効だったか」「どのコンテンツが人気だったか」などを定量的に分析し、今後のイベントをより効果的な企画や運営に繋げることが期待できます。
クラウド型(インターネット経由でサービスを利用する形態)のシステムを使えば、複数担当者がいる場合もスムーズに情報を共有でき、進捗や変更点もすぐに反映されます。場所や時間を問わず連携できるため、外出先やリモート環境でも柔軟に対応可能です。データや情報の属人化を防止することや、急な引き継ぎ対応が発生した場合にも役立つでしょう。
以下では、イベント管理システムを活用するデメリットを紹介します。
無料で使えるイベント管理システムの場合は機能が限られる可能性があります。決済システムやデータの分析といった機能、セキュリティ対策を手厚くしたい場合に追加でコストが発生することも念頭に置いて導入を検討しましょう。特に小規模イベントや予算の限られた企業では、システム導入にかかるコストがハードルになることもあります。
イベント管理システムの機能の全体像を把握し、操作を身につけるまでに時間がかかる可能性があります。ITツールに不慣れなスタッフがいる場合、導入直後はかえって業務効率が下がることも考えられるでしょう。導入時は操作マニュアルを用意したり、研修を用意したりと、習得の機会を設けることが望ましいです。
クラウド型のイベント管理システムは、インターネット環境やシステム提供元の安定性に依存しています。万が一、システム障害や通信トラブルが発生した場合、進行や受付業務に大きな支障をきたすことも考えられます。たとえばシステムの導入は仮にトラブルが発生してもイベント開催が滞らない程度の範囲にする、重要情報は控えるなど、依存しすぎない環境を整えておくことが必要です。
管理システムによっては、備わっている機能や画面レイアウトが固定されており、自社イベントに合わせた細かな調整ができないことがあるでしょう。その場合、あわせて別システムの導入を検討したり、開発したりする必要があり、結果的に想定外のコストや工数が発生するケースもあります。
ここからは、イベント管理システムについて、主な機能や導入する際のポイントを解説します。
イベント管理システムとは、イベントに関わる管理業務を一元管理できるシステムです。イベントの案内ページや申込フォームの作成、リマインドメール配信、チケット販売や当日の受付、アンケート回収、参加者のデータ分析など、煩雑になりがちな業務を自動化できます。特に、参加者数が多いイベントでは、手作業によるミスを防ぐ上でも効果的です。参加者の情報をデータとして蓄積できるため、次回イベントの改善や営業活動にも活かせます。
イベント管理システムには、イベントページ作成・告知・申込受付・チケット発行・メール配信・当日の受付管理・アンケート回収など、幅広い機能が備わっている場合も多く、複数のシステムを横断すると、管理の手間やミスが増える原因にもなり得ます。
たとえば、参加者管理はできてもアンケート機能がなければ追加の対応が必要になり、工数がかかります。自社が求める機能と効率化したい業務工程を整理し、それをカバーするシステムを選ぶと良いでしょう。
イベントの規模や形式によって、適した管理システムは異なります。たとえば、数十人規模の社内イベントと数千人が参加する展示会では、必要な機能が大きく変わります。
また、オンライン、オフライン、ハイブリッドなど開催形態も判断する上で重要です。ライブ配信機能や入退室の記録、現地受付のQRコード対応など、開催したいイベントの形式に適した設計かどうかを確認しましょう。
操作に慣れるまで時間がかかるシステムは、運営側の負担になるだけでなく、当日のトラブルのもとにもなりかねません。
また、参加者自身で登録し、操作が必要なシステムを導入する場合、操作画面のわかりやすさや操作性の良さは参加率や満足度に影響します。管理するスタッフだけでなく、参加者にとっても直感的に使いやすい設計かどうかを確認することが大切です。無料トライアルがある場合は、実際の使用感を確認してから導入すると良いでしょう。
見逃しがちですが、参加者情報やアンケート結果など、イベント開催に際して得たデータをどれだけ今後に活かせるかどうかも重要です。エクセルに出力できる、レポート形式で自動集計できる、属性ごとに選別できるなど、今後のための分析に繋がる機能があると理想的です。
イベントは実施して終わりではなく、成果の振り返りや次回への改善が欠かせません。データをスムーズに抽出・活用できる設計かどうかを確認すると良いでしょう。
イベント管理をする際は、参加者の氏名、住所やクレジットカード情報など、機密性の高いデータを扱うことが多くなります。セキュリティ対策が不十分なシステムを選んでしまうと、情報漏えいや不正アクセスといったリスクが高まります。
導入時には、データの暗号化対応やアクセス権限設定、利用規約の明確さなど、参加者を不安にさせない仕組みが整っているかを確認しましょう。
おすすめのイベント管理システム6選を紹介します。
EventHubは、企業向けのオンライン・オフライン・ハイブリッドイベントに対応するイベント管理プラットフォームです。イベントページ作成・デザインカスタマイズ、集客・参加者の情報管理はもちろん、イベント配信にも対応しています。参加者同士のコミュニケーションを活性化させるための設計がされており、ビジネスマッチングシステムにより商談に繋がりやすいという強みがあります。
Peatixは、イベント告知・チケット販売・参加者管理が一体化した、国内外で広く使われるイベント管理サービスです。操作画面がシンプルで、手軽にイベントページを作成できます。過去に開催したイベントに参加した人はフォロワーとしてデータに残り、新しいイベントページを公開すると自動的に告知されるグループ(コミュニティ)機能があり、イベントのリピーターを生みやすい仕組みになっています。小規模な勉強会から大規模なフェスまで対応可能で、コミュニティ作りを重視する主催者にとって使いやすい設計です。
eventosは、企業イベントや展示会、セミナーなどのためのオールインワン型イベント管理ツールです。イベントページ作成、参加者登録フォーム、参加者・出展者管理、webアンケート、資料配布、ライブ配信など、多機能ながら直感的な操作性が特徴です。アプリ連携も可能で、イベント専用アプリを簡単に構築できる点も魅力です。参加者体験の向上を重視する企業に多く導入されています。
EventRegistは、ビジネス系イベントから小学生向けのイベントまで幅広い開催実績をもつイベント管理プラットフォームです。たとえば、特定の参加者にのみイベントページを閲覧可能にしたシークレットイベントや会員限定イベント、海外通貨での料金設定が可能なイベントなど、さまざまなイベントの形式に合わせた柔軟なカスタマイズが可能です。
Cventは、リアル・オンライン・ハイブリッドの全形式に対応するイベント管理プラットフォームです。イベントページ作成や参加登録、QR受付、配信・投票機能、報告書作成、CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)連携など、イベント運営を一元管理できます。特に大規模イベントや複数の企画を同時に進行する企業におすすめで、グローバル対応のセキュリティ基準もクリアしています。
SHANON MARKETING PLATFORMは、イベントの企画から事後フォローまでを一元管理できるクラウド型のイベント管理システムです。リアル、オンライン、ハイブリッド、メタバース形式に対応しています。特に、参加者の属性や行動履歴を活用したマーケティング施策の実施に強みがあり、BtoB企業の大規模イベントや展示会にもおすすめです。また、金融・保険業界など高いセキュリティ基準が求められる分野での導入実績も豊富です。
イベント管理を行う際には、多くの情報を管理する必要があるため、管理ツールを導入するのがおすすめです。必要な機能を明らかにし、目的に合ったツールを活用しましょう。下記にイベント管理におすすめのツールを紹介します。
Notionは、進行表やタスク、共有メモを一元管理できるオールインワンのツールです。情報を視覚的に整理でき、役割分担や連絡事項もまとめて記載できます。テンプレートを活用すれば、イベント全体の設計にも便利です。
Googleスプレッドシートは、予算管理、タイムスケジュール、備品リストや進行内容を表形式で管理するのに適したツールです。特に大規模な社外イベントでは、シートを「会場」「登壇者管理」「備品チェック」など用途ごとに分けて運用すると、誰でもわかりやすく管理できます。複数人での同時編集・共有にも強く、進捗報告や修正もリアルタイムで対応可能です。
Trelloは、タスクを「未着手」「進行中」「完了」などに可視化し、分類して管理できるツールです。誰がどの作業を担当しているかが一目でわかり、進捗の可視化や期日の設定、コメントのやりとりもスムーズに行え、直感的な操作画面が魅力です。Slackと連携させることでSlackからタスクを追加でき、作業履歴が残せるため、タスクの漏れ防止にもおすすめです。
イベントを成功させるには、企画力や演出だけでなく、いかに管理するかも重要になります。イベント管理をする場合は情報の整理、社内調整、役割分担といった基本を徹底することで、トラブルの防止やクオリティの向上に繋がるでしょう。さらに、イベント管理システムを活用すれば、作業の効率化を推進したりデータ活用の幅が広がったりと、継続的にイベント開催を検討している場合は内容の改善も期待できます。一方で、導入コストや習熟の必要性などのデメリットも把握し、一部を担い、一部をシステムに任せるなど、自社に最適な管理体制を選びましょう。