更新日:2025年6月11日
華やかなイベントを支える大事な要素のひとつが「イベント演出」です。イベント演出とは、参加者に伝えたいメッセージを効果的に届けるための見せ方や空間づくりを指します。音響・照明・映像・進行・空間設計などを総合的に用いて、イベントの目的や世界観を伝え、イベントをより盛り上げるのがイベント演出です。
本記事では、イベント演出の重要性やイベント演出をする際のポイント、イベント演出アイデア24選を紹介します。
イベント演出とは、イベントの目的や雰囲気に応じて、参加者の体験をより豊かにするための工夫や仕掛けのことを指します。具体的には、会場の装飾、照明や音響、映像といった見た目や音で盛り上げることに加え、イベント進行や出し物などもイベント演出に含まれます。
大切なのは、演出をイベントの単なる装飾にするのではなく、参加者の記憶に残る体験づくりにすることです。それにより、会場に一体感を醸成し、参加者の満足度を高めることができます。
また、イベント演出は、イベントの規模や予算とは関係なく、アイデアと工夫次第でイベントをより盛り上げることができます。そのためにはイベント演出の重要性やポイント、注意点を把握することが重要です。次から詳しく解説していきましょう。
ここでは、イベント演出の重要性を解説します。
イベント演出は、ただ場を盛り上げるためのものではありません。参加者の記憶に残る強い印象をつくることで、イベントのメッセージや主旨を届けるという重要な役割があります。たとえば、新製品の発表であれば、ただ製品の情報を伝えるだけでは印象が薄れがちです。しかし、ドラムロールやライトの演出など五感に訴える演出を組み合わせれば、その瞬間を「特別なもの」として強く印象に残すことができます。
こうした印象が参加者の感情を動かし、イベント後の行動や意識にもポジティブな影響を与えるでしょう。
イベント演出は、内容に集中してもらうためにも重要な働きをします。特に長時間のイベントでは、話す側の声や映像だけでは集中力が持たないこともあるでしょう。そのため、場面転換の際に照明の調整やBGMの変更などをおこなうことで、見ている側にもメリハリが生まれ、参加者を飽きさせない効果が期待できます。
イベント演出には、会場全体の雰囲気をコントロールする力があります。たとえば、イベント開始時には高揚感のある音楽を流して「これから始まる」という期待感を高めることができます。中盤では、照明や音の演出で参加者の注意を引き、話に引き込む雰囲気を作ることも可能です。そして終盤には照明を落として静かなBGMを流すことで、落ち着いた余韻を残すなど、場面ごとに適した雰囲気を作り出すことができます。
イベント演出は、企業や団体のブランドイメージを参加者に届けることができます。演出の方向性とブランドの世界観が一致していることが重要です。たとえば、以下のような演出が考えられます。
こうした演出は、視覚や聴覚だけでなく、会場全体の雰囲気を通してブランドを「体感」してもらうことにつながります。チラシやパンフレットだけでは伝えきれない空気感こそ、イベント演出ならではの強みです。
ここからは、イベント演出のポイントと注意点を解説します。
イベント演出をする際には、メッセージや目的が正しく伝わるかを意識しましょう。たとえば、感謝を伝える場で過剰な照明演出やテンションの高いBGMを使うと、場の空気と合わないでしょう。参加者になにを伝えたいのかを考え、場にふさわしい演出を心がけましょう。
演出は主催者の満足ではなく、参加者がイベントでどのような体験を得るかを考え、心地よい体験になるようにデザインすることが重要です。たとえば、音量が大きすぎる、映像が遠くて見えない、照明がまぶしいなどがあると、イベントの印象も悪くなり、そのまま記憶される可能性も高くなります。そのため、誰にとっても安心して過ごせる環境づくりを目指しましょう。
常に派手な演出を続けるよりも、静と動の緩急をつけることで印象的なシーンをつくることができるでしょう。たとえば、感動的な映像の後に会場を暗転させて静けさを演出すると、空気が引き締まり、次に何が来るのかと、参加者の視線と期待を惹きつけることができ、派手な演出も際立つでしょう。
演出はタイミングがすべてと言っても過言ではありません。映像、BGMの再生や照明の切り替えなど、タイミングがズレると、演出の効果が弱まってしまいます。企画段階で演出の台本を作り、タイミングがズレることがないよう進行しましょう。
イベント全体の完成度も大切ですが、「あの場面が印象的だった」と言われるような、参加者の記憶に残る象徴的な場面をつくるとよいでしょう。たとえば、エンディングで登壇者全員のシルエットを照明で浮かび上がらせるなど、写真や動画に残したくなる瞬間を仕掛けることで、イベント後の話題にもつながります。
イベント演出で使えるアイデアを「装飾」、「照明」、「音響」、「映像」、「特殊効果」の5つのカテゴリに分けて24選を紹介します。
装飾にまつわるアイデアを紹介します。
イベント全体に一貫性を持たせ、特別な空間を作るなら「テーマカラーの統一」は効果的な手法です。会場の入口から受付、ステージ、パンフレット、スタッフの衣装に至るまで、特定のカラーを軸に展開することで、来場者の強い印象と、統一感によるプロフェッショナルな印象を与えることもあります。
ブランドカラーやイベントのテーマ性に応じて選ぶことで、企業のイメージ訴求やコンセプトも伝えやすいです。また、照明や映像の演出と組み合わせることでより高い没入感を演出することもできます。
バルーンは華やかさと動きを与える装飾アイテムとして、イベントのジャンルを問わず高い汎用性があります。入口に「バルーンアーチ」を設置することで、来場者の第一印象に特別感を与え、イベント会場への期待感を高めてくれる演出となるでしょう。
カラフルなものから単色で統一されたシックなものまで、テーマやブランドイメージに合わせてアレンジでき、ステージ周辺やフォトスポットにバルーンを配置することで、写真映えする空間づくりも可能です。設置も比較的簡単であり、コストパフォーマンスの良い方法のひとつです。
来場者が自然に写真を撮りたくなる「フォトスポット」は、イベントの拡散力や満足度を高める上で欠かせない要素です。背景にブランドロゴやイベントタイトルを入れたり、イベントに関連する小道具やモチーフを飾ることで、来場者に「イベントに来た!」という記念撮影に留まらない実感を与えてくれます。
SNSでシェアしたくなるような映えるデザインや、「#イベント名」などのハッシュタグを使ったキャンペーンを盛り込むことで、インタビューネット上での話題性や認知拡大も狙えます。フォトスポットは入口付近やステージ脇など、目に付きやすく、人が集まりやすい場所に設置するのが効果的です。
また、時間帯やシーンに応じて照明や小道具を変えると、繰り返し楽しんでもらえる仕掛けにもなります。
天井や高所に設置する「吊り装飾」や「フラッグガーランド」は、空間全体に動きと奥行きを加える演出です。床やテーブル装飾だけでは出せない「縦の広がり」を活かすことができるのが特徴で、会場全体を包み込むような一体感を演出できます。
素材やデザインのバリエーションの自由度が高く、カジュアルな雰囲気からフォーマルな空間まで柔軟に演出することができます。また、風や人の動きで揺れることで、動きが加わる演出である点もポイントです。
装飾だけでなく、通路の誘導やエリア区分のサインとしても活用できるため、機能性のある装飾としても活用できます。
装花やグリーンを使った装飾は、空間に自然な彩りを加える演出方法です。ステージ前のフラワーアレンジメントや、受付カウンターのグリーン装飾、テーブル上の花瓶など、活用できる場所は幅広いです。
季節感やイベントテーマに沿った花材を選ぶことでイベントの一体感を高め、会場が無機質になりにくくなる効果も期待できます。
照明にまつわるアイデアを紹介します。
ウォッシュライトは広範囲を照らす機器で、ステージ背面や壁、天井などを特定の色で照らすことができます。ステージ全体を印象づける要素となるため、場面に合わせて色を変えることで一体感を生み出すことができるでしょう。
たとえば、開場時にはやや落ち着いたトーンで来場者を迎え、開演と同時に明るい色に切り替えると、場面の変化が際立ちます。時間帯や演出に合わせてグラデーションやフェードの効果を加えることで、会場全体に動きを感じさせることも可能です。
スポットライトは、注目させたい人や物を照らすための基本的で、視線を集めるために効果的な手法です。登壇者やプレゼンターの存在感を際立たせたい場面では、視線を一手に集めるために機能します。
ステージ上では、誰が話しているのか、どこに注目すべきかがすぐにわかるため、複数の登壇者がいる場合は順番にスポットを切り替えることで流れを明確にする役割も持ちます。また、照明の色温度や強度を調整することで、人物の肌や衣装がより美しく見えるようにすることもできます。
照明スタッフと演出担当の連携が重要であり、タイミングと照射位置の正確さが求められます。
LEDテープライトや間接照明は、床・階段・通路・壁面など、空間の細部に光を仕込む演出です。
直接光源が見えないように配置することで、光のグラデーションが生まれ、空間に奥行きを付けることができます。特に夜のイベントや屋内イベントでは、天井照明を落とし、間接光で構成することで雰囲気を盛り上げられるでしょう。
また、テープライトを通路に設置すれば、誘導の役割も果たし、来場者の自然な動線の確保にもつながります。
ムービングライトとは、ライト本体が自動で上下左右に動いたり、発光パターンを変化させたりする照明機材です。スポットライトが人や物を対象に固定で照らすのだとすれば、ムービングライトは自動で動き、ステージ全体にダイナミックに演出するものといえます。
音楽や映像に合わせて動きのある演出をおこなうことができ、イベント全体にリズムを与えることができます。
ストロボや点滅系のライトは、短時間で強い光を瞬間的に放つことで、視覚的にインパクトを与える演出です。特にカウントダウンやサプライズ演出、演出転換のタイミングなどに用いることで、その場を盛り上げることができます。
音響にまつわるアイデアを紹介します。
来場者の入場時から開演前、転換時間、終了後の退場時まで、テーマとなるBGMを再生させておくことで世界観を構築する役割を果たします。来場者が無意識にイベントの方向性や雰囲気を自然に感じ取ってもらえる効果が期待できます。
たとえば、近未来がテーマのイベントであれば電子音楽、自然をテーマとしたイベントであればアコースティック系や環境音を織り交ぜることで、空間全体の没入感を高めることができるでしょう。ただし、音量が大きく、目立つような曲になっていると、ずっと聞いていると飽きてしまうこともあります。存在感を意識しながらも、主張しすぎないようにしましょう。
場面転換のタイミングで短い効果音を挿入することで、観客の注意を引きつけることができます。音の変化は視覚とは異なり、少し目を離している観客に気づかせたり、意識を切り替えたりする力を持っているため、演出と演出の間をつなぎ、テンポよく進行するために活用できます。
たとえば、軽快な電子音で登壇を告げたり、荘厳な音で表彰の瞬間を引き締めたりと、選ぶ音によって演出を大きく変えることができます。
海の波音、鳥のさえずり、森のざわめき、焚火の音といった自然音・環境音は、強い聴覚イメージを想起させる演出です。会場内にいながら「別の場所にいるかのような感覚」、「日常から切り離す」力が強く、非日常の世界観を演出できるでしょう。
たとえば、リラクゼーションやヒーリングをテーマとしたイベント、没入型の体験コンテンツにおいては、視覚以上に空間演出を担う要素です。なお、繊細な音の表現が求められるため、スピーカーや音響環境にも十分な配慮が必要です。
音の位置を工夫する音響設計も重要な演出です。スピーカーを正面だけでなく左右や後方、天井など、さまざまな場所から配置することで立体的な音響が生まれます。たとえば、ステージでは雷鳴を再現する場合は天井からの重低音で「空から鳴る」感覚を演出でき、声や音楽も「遠くから聞こえる」ように演出すれば音で奥行きを表現できます。
映像にまつわるアイデアを紹介します。
イベントの冒頭でオープニングムービーを流すことで、観客の注目を集め、世界観へ一気に引き込むことができます。イベントのコンセプトやテーマ、登壇する人、ブランドの紹介などを映像としてまとめることで、観客に期待感を与えます。
ステージの背面や会場の壁面などに、ループ再生のイメージ映像を流すことで、会場全体のイメージを形成することができます。たとえば、自然系イベントでは森や空の映像、ビジネス系では都市映像など、テーマに合わせた映像を背景に流すことで統一感が生まれます。
映像は動きが緩やかなものであれば、視覚的に邪魔にならず、安定感と落ち着きにもつながります。
タイムテーブルや会場案内、注意事項といった情報を映像で流すことで、紙の配布や口頭での説明にくわえて、わかりやすく、印象にも残りやすい効果があります。
来場者の興味を引きつつ、伝えづらいルールやマナーも映像演出にすることで、楽しさを保って伝えることも可能です。
大規模イベントやステージ全体を活用するシーンでは、1面のスクリーンでは情報や演出を映しきれない場合があります。その際には、複数のスクリーンを活用する「マルチスクリーン」が効果的です。
ステージ背面に複数の画面を配置したり、左右にもスクリーンを設置したりすることで、幅広い位置からの視認性を高めつつ、迫力ある演出ができるようになります。映像内容もすべてを同じにするのではなく、センターではメイン映像、左右では別角度の映像などを表示することで、空間の密度を伝えつつ、演出力の強化もおこなえます。
イベントの締めくくりとして「エンドロールムービー」を流すことは、参加者にイベントの存在や楽しさといった余韻を残すための重要な演出です。関係者の名前やチーム紹介に加えて、イベント中に撮影された写真や映像を組み込むことで、その場での思い出を振り返る感動的な時間となるでしょう。
特殊効果にまつわるアイデアを紹介します。
登壇者のステージ登場時やライブであれば楽曲のサビなど、印象的なシーンで活用されるのがドライアイスを使ったスモーク演出です。床面を這うように広がるスモークによって、「なにが起きるのか」、「誰が出てくるのか」観客の期待感を一気に高めることができます。
照明演出とは相性が良く、光がスモークに反射することで、立体的で幻想的な空間を作ることもできます。
シャボン玉マシンを用いて、無数のシャボン玉を噴出することで、会場を幻想的な空間に変えることができます。子ども向けイベントやファミリー層に用いられやすいですが、夜間の屋外イベントや結婚式などでもロマンチックさを演出でき、音楽や照明と組み合わせれば、没入感のある演出もできます。屋外でも使用可能な機材もあり、幅広いイベントで使えます。
スパークラーとは、屋内で安全に使用できる火花演出装置のことで、花火とは異なり、火薬を使わずに火花を発生させる機材です。火の粉に見える演出でありながら、熱を持たず安全性が高いため、会場内での使用が認可されているケースも多く、安心してインパクトある演出をおこなうことが可能です。
入場シーン、フィナーレ、受賞や発表の瞬間など、観客の注目を集めたい「大事な瞬間」を強調するのに適しています。
紙吹雪やエアショットによる演出は、イベントのクライマックスの定番です。天井からゆっくりと舞い落ちる紙吹雪は、ドラマチックな雰囲気を作り出し、写真映えします。エアショットは、圧縮空気を使って銀テープやリボンなどを放出する装置で、盛り上がりを高める演出として活用されます。
レーザーライトは、高精度なレーザー光を使って空間を貫くように演出する、特殊効果です。音楽と完全にシンクロさせることで、音が視覚化されたような感覚を体験できます。ライブイベントやコンサート、サイエンス系の展示会など、近未来的・テクノロジー的な世界観を演出したい場面に適しています。
使用にあたっては専門の技術者による安全管理が必要ですが、他の演出にはない没入感を生み出すことができます。
ここまで、さまざまなイベント演出の重要性や、イベント演出アイデアについて解説しました。演出は、単なる盛り上げにとどまらず、記憶に残る体験やチームのつながりをつくることを意識するのが重要です。ただ派手に盛り上げるのではなく、なにを目的としたイベントか、テーマはなにになるのか、参加者に伝えたいメッセージはなにかなど、細部にわたってイベント演出を考えていくことが求められます。本記事で紹介したアイデアを参考に、目的や対象に合わせた演出を設計し、ぜひイベントに彩りを加えてみてください。