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イベントコンセプトとは?コンセプト例や決め方の流れを解説

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更新日:2025年6月13日

イベントコンセプトは、企画の方向性を定め、内容や演出に一貫性を持たせる役割を果たします。イベントを開催することで誰に何を届けたいのか、その目的や意図を明確にするために欠かせません。

本記事では、コンセプトの意味やテーマとの違い、イベントコンセプトの例を紹介します。また、イベントコンセプトの決め方を7ステップに分けて紹介するとともに、コンセプトづくりに悩んだ際の対処法もお伝えします

イベントコンセプトとは?

イベントコンセプトとは、イベント全体の方向性や目的を明確にし、企画や運営の基礎となる考え方のことです

そもそも「コンセプト」とは、物事の基本方針や全体を通じた一貫した考えを指し、デザインや広告などさまざまな分野でも重要視されています。そのためイベントにおいては、企画や制作において「何を目的に、誰に向けて、何を伝えたいのか」などをまとめた中心となる考え方といえるでしょう。

イベントコンセプトを設定することで、開催目的やターゲットに合った内容や演出を決めやすくなり、関係者間での認識のズレも防げます。また、参加者にとってもイベントの魅力や価値が伝わりやすくなり、満足度の向上や参加意欲につながります。

テーマとの違い

コンセプトと混同されやすい言葉として「テーマ」があります。「テーマ」とは企画や作品の中心となる題材や話題のことを指しますイベントにおいては「挑戦」「感謝」「未来へつなぐ」など、どのような内容を扱うのかを示す言葉となります。

コンセプトが「どう見せるか」という考え方であるのに対し、テーマは「何を語るか」という題材を指すものといえるでしょう。

イベントコンセプトの例

実際に使用されたイベントコンセプトの例を3つ紹介します。

1.     東京2020大会(第32回オリンピック競技大会(2020/東京)、東京2020パラリンピック競技大会)

東京2020大会は、下記の3つの基本コンセプトを掲げました。

  • 「全員が自己ベスト」
    すべての選手が最高のパフォーマンスを発揮できるよう、世界最高水準の技術や設備を導入し、競技環境を整備していること表すコンセプトです。
  • 「多様性と調和」
    障がいの有無や国籍、性別、宗教などあらゆる面での違いを肯定し受け入れ、互いに認め合うこと、そして世界中の人々が多様性と調和の重要性を認識し、共生する社会を育むきっかけになる大会になることを目指し、このコンセプトを掲げました。
  • 「未来への継承」
    歴史的価値や社会的意義を有する現物や文書を利用・活用できるようにするための保存体制、また、東京2020大会の準備や運営に必要な知識を継承することを目指し、このコンセプトを設定しました。

東京2020大会は、これらのコンセプトに基づいた取り組みを通して、スポーツが人々に与える勇気や力を未来につなげることを目指しました。

参考:東京都オリンピック・パラリンピック競技大会ホームページ|大会ビジョン

参考:東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会公式報告書

2.     奥能登国際芸術祭 珠洲2023

奥能登国際芸術祭は、石川県珠洲市全域を舞台に国内外の作家による作品を展示、鑑賞する芸術祭です。2023年は、「日本の祭と食文化の源流を探る」をコンセプトに掲げ、能登の秋祭りで行われる「よばれ」という風習にちなんだ珠洲まつり御膳を提供し、訪問者に地域の食文化を体験してもらう取り組みが行われました。

コンセプトに基づき、「見る」だけではなく「感じ、味わう」ことに重きを置いた本芸術祭は、アートを通じて地域そのものに触れる機会を創出し、訪問者と土地を深くつなぐ仕掛けとして好評を博しました。

参考:奥能登国際芸術祭 珠洲 2023 SUZU.2023|総括報告

3.     鈴コミ海まつり2024

鈴コミ海まつり2024は、2024年7月27日・28日に三重県鈴鹿市の鈴鹿コミュニティーで開催されたイベントです。コンセプト「子ども達に笑顔を」のもと、楽しみながら海について学ぶ機会を提供しました。

鈴コミ海まつりと連動したFMラジオの特別コーナー、大学教授による鈴鹿の海にいる生き物についての紹介、鈴鹿の漁師が実際に取っている魚と魚の紹介などが行われました。また、海の生き物とのふれあい体験、子どもたちが描いた魚の絵の展示や、地元産アサリのつかみ取り、縁日ブースなど、多彩なプログラムが展開され、子どもたちが鈴鹿の海と深く関わる場となりました。

コンセプトが、情報発信・体験・空間演出などすべての要素に通底していたことで、イベントの一体感と満足度を高めたと考えられます

参考:鈴コミ海まつり2024〜鈴鹿の海をみんなで大切にしよう〜

イベントコンセプトを決める7ステップ

以下では、イベントコンセプトの決め方を以下の7ステップで解説します。

ステップ1.イベントの目的や何を伝えたいかを決める

はじめに、イベントを通じて達成したい目的を決めていきます。

【一例】

  • 自社やサービスの認知度向上
  • 新規客を獲得する
  • 既存顧客との関係強化
  • 求職者への企業理解促進
  • 業界知識や社会課題への理解促進 など

このように、イベントによって目的もさまざまです。イベントコンセプトは、目的や伝えたいことを踏まえて全体の方針を設計するため、はじめに具体的な目的設定をすることが重要です。

ステップ2.イベントのターゲットを決める

イベントに参加してほしいターゲットを設定します。

【一例】

  • 子どもの思い出に残るイベントを探している家族連れ
  • 副業や独立を視野に入れて動き出したいフリーランス志望の社会人
  • キャリアに悩む20代後半のビジネスパーソン など

上記のように、具体的なターゲットを設定しましょう。イベントコンセプトは、誰に向けて何を伝えたいかを考えて設計するため、ターゲットが定まっていないとコンセプトの軸がぶれる恐れがあります。ターゲット層を分析し、言語化することで、効果的に訴求できるイベントコンセプトの考案につながるでしょう。

ステップ3.参加者に提供できる価値を明確にする

ターゲットにとっての「価値」は何かを明確にします。

【一例】

  • 家族連れイベントの場合……さまざまな年齢に対応できるアクティビティや親子で楽しめる体験ができる
  • フリーランス志望の社会人向けイベントの場合……人脈を広げる出会いの場になる
  • キャリアに悩むビジネスパーソン向けイベントの場合……同じ悩みを持つ人と交流する時間がある など

上記のように、参加者が得られるメリットを具体化しましょう。イベントによって提供できる価値を明らかにし、イベントコンセプトに反映させることで、ターゲットに響く内容に仕上がります。

ステップ4.テーマを決める

イベントの目的・ターゲット・価値を象徴するテーマを1つ決めます。たとえば、「ふれあい」「挑戦」「再考」など、テーマにより、どんなイベントなのかが明確に分かる言葉に絞ることで、内容や演出のブレを抑えることが期待でき、イベントに統一感を与えられます。イベントの内容を企画する際の指針にもなり、参加者の印象にも残りやすくなるでしょう。

イベントコンセプトを決める際には、ここで決めたテーマから派生させて考えると、コンセプトとイベント内容との齟齬が生じにくくなります。

ステップ5.イベントコンセプトのアイディアを出す

イベントの目的・伝えたいこと、提供できる価値やテーマを踏まえて、イベントコンセプトのアイディアを出します。要素の組み合わせを変えて考えることで、イベントコンセプトにつながるさまざまなアイディアが生まれる可能性があります。

【アイディア出しの具体例】

■ターゲット:キャリアに悩む20代後半のビジネスパーソン

■イベントを通じて提供できる価値:同じ悩みを持つ人と交流する時間がある

  • 価値をさらに細かく言語化する

「誰かと仕事について考える時間ができる」「これまで1人で考えていたことを人と話す時間ができる」「同じ悩みを持つ違う考え方の人に出会う機会になる」など

  • 詳細に言語化した価値を踏まえて、ターゲットにとって、イベントがどういうものになるのかを考える

「偶然出会った誰かの言葉が、自分の働き方や考えを変えるきっかけになる」

  • 複数のコンセプトを導き出す

「偶然の対話が、明日を変える」

「対話から始まるキャリアの再発見」

「話すことで、見えてくる」

このように、伝えたいことや提供できる価値を細分化していくことで、イベントコンセプトの種になるような文言や文章を導き出すことができます。

ステップ6.ヒアリングをもとにイベントコンセプトを絞り込む

イベントコンセプトのアイディアのなかから、目的・ターゲット・提供できる価値に合っているものを軸にコンセプトを絞り込みます。ターゲット目線で「伝わりやすいか」「共感してもらえそうか」を評価するために、チーム内で投票をしたり、部署内でアンケートをとったり、客観的な視点を取り入れましょう。アンケートの場合は、ターゲット層に近い人に絞って意見を聞くのも効果的です。

ステップ7.イベントコンセプトを確定する

絞り込んだ候補のなかから、最終的なイベントコンセプトを決定します。

  • 目的やイベントに参加することで得られる価値が明確に伝わるか
  • ターゲットに響く言葉になっているか
  • 関係者が共通認識を持てるか
  • キャッチコピーにできるくらいの簡潔さがあるか

上記をチェックしながら、イベントの実現可能性や予算との整合性も確認し、イベント内容とマッチしたコンセプトを選びましょう。

【イベント実施後】イベントコンセプトを振り返るポイント

イベント終了後、実際にイベントコンセプトがどのように参加者に伝わったのか、どのように受け止められたのかを把握することで、次回に活かすことができます。

ここからは、イベント終了後に、コンセプトの伝わり方を振り返るためのポイントを解説します。

アンケートで、参加者の受け止め方を知る

イベント後は、参加者アンケートを実施しましょう。「イベントコンセプトがどのように伝わっていたか」を読み取る設問としては、たとえば以下のような項目が挙げられます。

  • イベントの印象
  • 記憶に残った内容
  • 満足度の高かったコンテンツとその理由

上記を問うことで、参加者が何に価値を感じたのか、どのように受け取ったのかが見えてきます。自由回答欄を設けることで、意図しなかった受け止め方や、想定外の気づきも得られます。

参加者の反応から、イベントコンセプトとのズレを分析する

アンケート結果や参加者のデータをもとに、コンセプトがどれほど伝わったかを分析します。期待していた反応と実際の反応にズレがあった場合、その理由を分析しましょう。数値だけでなく、感想や反応の質にも注目して、コンセプトが狙い通りに機能したかを多角的に評価することで、ターゲット設定やメッセージの届け方に改善のヒントが見えてきます。

次回以降のイベントコンセプトの設計に活かす

得られた分析結果は、次回以降のイベント設計に活用できる重要な情報です。コンセプトの効果分析をもとに、次回以降のイベントコンセプトの改善策を検討しましょう。

たとえば、伝わりにくかった部分をどう表現すればよかったか、参加者が価値を感じた点をどう強調すべきかなど、具体的な改善策に落とし込むことで、より伝わるコンセプト設計につながります。

イベントコンセプトづくりに悩んだときの対処法

イベントコンセプトは、イベントの核となる重要な部分です。しかし、初めてイベントを企画する場合や、多くの関係者の意見を取り入れる場合などでは、コンセプトがまとまらないこともあるでしょう。

ここからは、イベントコンセプトづくりに迷ったときに試したい方法を、「社内でできる方法」と「イベント会社に依頼する方法」に分けて紹介します。

社内でできる方法

ここでは、イベントコンセプトづくりを社内で行う際の進め方を紹介します。

社内メンバーと「壁打ち」してみる

イベントコンセプトを考える際、1人で考え込むと視野が狭くなりがちです。違う部署のメンバーや、イベントの対象と近い層の社員に、たとえば「このイベント、誰が来たら嬉しい?」といった質問をしてみることで、新たな気づきが得られることがあります。

ターゲット視点で「参加後の姿」を描いてみる

「参加者がイベントを終えて、どのように変化してほしいか」を考えることで、イベントコンセプトの軸が見えてくることがあります。

たとえば、「参加後に、新しい一歩を踏み出す自信を持てるようになってほしい」というイメージであれば、 『可能性を後押しする』といった言葉がコンセプトの軸になるかもしれません。

過去イベントの「感想」や「反応」を振り返る

過去の参加者アンケートやSNSでの投稿から、「心に刺さった言葉」や「印象に残った瞬間」を洗い出してみましょう。参加者に刺さりやすいイベントコンセプトのヒントが隠れていることがあります。

話題のイベントや広告を分析する

他のイベントのキャッチコピーや構成を見て、「このイベントコンセプトは、なぜ多くの人に刺さっているのだろか」と考えてみることで、自社のイベントに活かせる表現や考え方のヒントが得られることがあります。

ただし、話題になるようなキャッチーなコンセプトであることよりも、伝えたいことが参加者に自然に伝わることが大切です。焦らず、言葉に込める想いを整理する時間を取るのも重要です。

イベント会社に依頼する方法

イベントコンセプトの考えがまとまらない場合には、第三者の視点を取り入れてみるのも一つの方法です。とくに、イベント運営の経験が豊富なイベント会社に相談することで、コンセプトの言語化や設計をサポートしてもらえるケースもあります。

ここでは、イベント会社にコンセプトづくりをサポートしてもらう際の進め方を紹介します。

伴走してくれるイベント会社を探す

企画の実施だけでなく、「コンセプト設計の段階から一緒に考えてくれるかどうか」を基準に、イベント会社を探してみましょう。初期段階での相談にも対応してくれるイベント会社であれば、まだ漠然としているアイディアを言語化するのをサポートしてもらえる可能性があります。

【イベント会社を探すポイント】

  • ヒアリングの時間をしっかり取ってくれるか
  • 企画段階から相談できる実績があるか
  • 対話を重視する姿勢があるか

相談しながらイメージを言語化していく

社内で「なんとなくこんな雰囲気で」と共有されている空気感も、第三者に説明する過程で具体的な言葉になっていくこともあります。たとえば、「こんなターゲット層に届けたい」「イベントでこんな雰囲気をつくりたい」など、まだ形になっていない想いや方向性であっても、率直に共有することで、イベント会社から問いを通じた深掘りが始まります。やりとりを通じて、具体的な言葉や表現に変換されていくプロセスが、コンセプトを形づくる助けになります。

 現実的な観点からのアドバイスを受ける

イベントづくりにおいては、理想だけでなく、実現可能性や参加者の反応も見据えた現実的な設計が求められます。イベント会社は、多くの経験をもとに、「そのコンセプトが実際の現場でどう機能するか」を知っているため、実現可能性や参加者の反応も見据えたアドバイスが得られるでしょう。

演出や空間デザイン面でのアドバイスを受ける

イベントコンセプトは言葉だけではなく、当日、参加者にどのような体験として届けるかも重要です。イベント運営会社に依頼した場合は、コンセプトに合った会場装飾や、映像・音楽を生かした演出を提案してもらえます。

たとえば「つながり」をテーマにしたイベントなら、円形レイアウトや他の参加者とのコミュニケーションが生まれる企画などが考えられます。

イベント会社に依頼する際のポイント

イベント会社の力を借りながらイベントコンセプトを考える際、ただ依頼するのではなく、自社の目的や状況を踏まえた関わり方がイベントの成果を大きく左右します。ここでは、イベント運営会社に依頼する際のポイントを解説します。

コンセプトづくりは対話から始める

イベント会社には「こういうコンセプトにしたい」と完成形を伝えるよりも、「ターゲットにこう感じてほしいが、うまく言葉にできない」といった悩みを伝え、対話を通じてコンセプトの軸を一緒に探ることで、質の高いコンセプトづくりを実現できます。

自社が求めるものに対して、プロの経験を踏まえた視点を取り入れながら進めていきましょう。

不安や迷いも率直に伝える

イベントの魅力や強みを伝えることは大切ですが、「何を伝えきれていないか」「どこに自信がないのか」といった迷いや不安を共有することで、イベントコンセプトづくりの起点になることもあります。イベント会社とのコミュニケーションのなかで思考の整理が進み、結果的に自社が伝えたいことを言語化する糸口が見つかるかもしれません。

曖昧なイメージも積極的に伝える

「気軽だけど品がある雰囲気」「驚きより安心感を重視」などの感覚的なイメージや、「展示会っぽさは残しつつ、温かみのある空気にしたい」といった曖昧な表現も、コンセプトや空間設計の手がかりになることがあります。言語化しきれていない感情や空気感も積極的に共有しましょう。

ただし、「キャッチー」「スタイリッシュ」などの言葉は、人によって受け取り方が異なります。共通認識がズレないように、具体的な背景や意図も合わせて伝えるようにしましょう。たとえば、「こういう印象の広告が理想」などの参考イメージを共有すると、齟齬を防ぎやすくなります。

一緒に考える姿勢を持つ

イベント会社にすべてを丸投げするのではなく、打ち合わせに積極的に参加したり、社内の意見をまとめて伝えたりするなど、主体的に関わることで、自社の思考力やノウハウが蓄積されていきます。

ヒアリングを重ねてコンセプトを言語化していくプロセスにはある程度の時間が必要です。初動にスピード感を求めすぎずに、丁寧に進めることで納得度の高いイベントづくりにつながるため、余裕を持ったスケジュールを立てるようにしましょう。

契約条件は事前に確認する

契約内容によっては、途中での修正や方向転換が難しいケースもあります。提案回数や柔軟性については、最初に確認しておくと安心です。

まとめ

イベントコンセプトは、目的・ターゲット・価値を踏まえたうえで全体の方向性を定める核となる考え方です。明確なコンセプトがあることで、演出や企画などイベント内容に一貫性が生まれ、参加者にも強く印象づけることができます。今回紹介したステップを試しながら、必要に応じて外部の視点も取り入れることで、自社らしいコンセプトを育てていきましょう。

この記事を書いた人
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イベントプロデュース編集部

年間1,000件以上のイベント支援実績を持つ株式会社IKUSAが運営する「イベントプロデュース編集部」は、企業・団体のためのイベント成功をサポートする専門メディアです。社内イベント、懇親会、表彰式、周年イベントなど、あらゆるシーンに対応できる企画アイデアや運営ノウハウ、最新のトレンド情報を発信中。幹事初心者にもベテランにも役立つ、現場視点の記事を多数掲載しています。

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